表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の眼の魔術士  作者: 花嵐 龍子
第三章 竜國炎上 ーParis brûle-t-il?、ー
66/88

竜國炎上8

 パリからヨーヌ川を南東に1時間ほど行った川沿いにある小さな町サンスはかつてはステンドグラスで有名な美しい場所であった。

 しかし、現在人の気配は無く、いたる所に焦げた建築の残骸を残すのみとなっていた。


 「こちらナヴァラン隊。ポイントunに到着。"反逆の壁"のギリギリだ。"通信"の状況を確認したい」


 雨の中廃墟と化した教会内に十数の軍用車両が到着した。設置された軍営の中から無線をやりとりしていたのは隊を率いるドワーフのデュックであった。


『ジジ…こちらオルレアン本部。ジジ…通信状況レベル4。こちらからはハッキリ聞こえている。ジジ…』


「こちらナヴァラン隊。了解した。これより作戦行動を開始する。コード90563確認してくれ」


『こちらオルレアン本部。ジジ…了解。コード90563確認した。幸運を祈る…ジジ』


 無線を切るとデュックは数人の部下を呼びつけた。


「これより作戦行動に移る。手順はミーティング通りだ。我々よりも先に行くルーヴルとオルセーの奴らに物資を配達する」


「バッテリーの充電率は良好。十分で完了します」


「八分で全部隊を出発させろ。ここもいつ狙われてもおかしくない…現在、周辺に上級魔族はいるか?」


「レーダーによるとフォンテーヌブローに反応が一つ…"火竜"です!」


「"ルノワール"か"ドガ"、どちらか分かるか?」


「壁ギリギリなので、画像が荒いですが、おそらく"ルノワール"でしょう」


「隊長!大変です!」


デュック達の元に声が響いた。


「どうした!」


「今、町の北側に"竜族"が出現。個体は"ルノワール"と確認、現在第一部隊が交戦中!」


「まずい!全員、戦闘準備!すぐに出発だ!」


慌て車に乗り込むと、町の離れた所から火柱が立った。


「こちらデュック。全隊、分散しろ!会敵次第、"レールショットガン"の使用も許可する!」


 全速力で町を走り抜けると北西に橋が見えて来た。


「よし、まだ渡れる!こちらデュック!第二、第三隊は俺と奴を迎え撃つ!」


 デュックと数台の軍用車が橋の手前で止まり、次々と来る他の部隊の車両を渡らせる。

 町のすぐ向こう側でまた火柱が立ち、怪物の叫びが聞こえた。


「隊長!第一部隊の車両です!こっちに向かって来てます!…あぁ…」


「どうした!?」


 デュックは手元の銃のスコープから第一部隊の方向を見た。

 そこには全速力で走り抜ける一台の軍用車の後ろに着いてくる巨大な竜が火を吹きながらやって来ていた。

 デュックは戦慄した。全長三十メートルは下らない化物に見覚えがなかったからである。


「あれは、"ルノワール"では無い!まずい!敵は複数で来ていたか!」


次の瞬間、後の軍用車が渡る橋が天から降り注ぐ炎の柱にかき消された。


「隊長!"ルノワール"です!奴は…雲の中だ!!」

 デュックは空を見た。蠢く暗雲の中で雷が鳴り響く。その光の中に目の前の竜より遥かに巨大な翼を持つ竜がいた。


(しまった…奴は"雷雲"に隠れてレーダーを逃れたのか…!)


「総員攻撃開始!移動しろ!貫通力では此方の方が有利だ!」


 発砲と共に動き出すとデュックの車両の窓に隊員の残骸が当たった。第一部隊の方を見ると先の竜に車が食われていた。


「クソ!おい、早く下ろしてこっちに乗せろ!それと…!!」


 そう言う間もなくデュックの車両は竜の巨大な尻尾に吹き飛ばされた。


「ガハッ…!クソ!」


 血を吐きながらも逆さまになったデュックは車両から出た。


「ハハ…」


デュックが見上げるとそこには真っ黒な全長六十メートルはあろうかというの巨竜がデュックを見下ろしていた。


「ボンジュール、ノミ虫君」


 凶悪な笑みをして黒竜はデュックを銃を構える暇も与えず炎で包んだ。


一瞬でデュックの身体は骨まで溶かされ、あとには黒いしみしか残らなかった。


「ルノワールサマ」


 他の部隊との戦いを終えた竜が巨竜、ルノワールに寄ってきた。


「君にしては手こずったじゃないかカイユボット」


「モウシワケアリマセン」


「まぁいいさ。役割は果たし早く帰ろう。陛下も起きた頃だろうし」


 二つの影が去り、雨が止んだ頃、雲の隙間から出る光が町に当たった。


「ふう、なんとかなったな」


 車両の焼けた跡のすぐ側に光が当たると空間が歪み、デュックが姿を表した。


「もう少し雨が強ければ"投写迷彩"も使えずでしたしね」


デュックの後ろの空間も歪み、部隊が姿を表す。


「しかし、群れを成さない奴らがここまでやるとは、いよいよだな…さっきので第一部隊を失った上、バッテリーも予定より消費してしまった。仕方ない、物資を半分に減らして行く。地下道…カタコンベに急げ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ