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竜の眼の魔術士  作者: 花嵐 龍子
第三章 竜國炎上 ーParis brûle-t-il?、ー
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竜國炎上7

ある日、ブルゴーニュ大学第四キャンパスビル四階の一室で授業が行われていた。


「以上が"大混乱"後の"電子のマナ化"についてだ。理解したか?」


教鞭はパバロッティが振るっていた。


「なんとか…」


難しそうな顔をしているマサノリ、真面目に受けているアリア、まだ情報を処理しきれないルシファ、頭から湯気が出ているメリュは並んで席についていた。


「まぁ、ここまでは高校レベルだからな。だが次は"魔属性"。その次の"陣術"と"詠唱術"まで使用できて初めて"一つ星魔術士"だからな。時間もないし、ビシビシいくぜ」


 苦笑いするマサノリをよそにパバロは黒板を消した。


「まぁ、素質があるだけまだマシだな。」


「素質?」


「奇跡なんてのはな"持たざる者"には何をしても起こせない。そういうのは"魔器"や"契約兵装"みたいなリスクに手を出すしか目の前の"神秘"に触れられないのさ」


パバロは四人を見つめた。目の前には…


竜の眼を持つ青年

天使の少女

竜の孫

鬼の少女


がいた。


(素質…背負いすぎだな…)


色々とある若者にしみじみ思っているとアリアが真っ直ぐ手を挙げた。


「なんだ?」


「ユフォ隊長は"二つ星魔術士"でありながら本来必要のない"契約兵装"を所持しています」


「あぁ、あいつは特別なのさ。簡単に言えば天才ってやつだからな。まぁ、色々あんだあんまり触れんな」


パン!とパバロは手を叩いた。


「それじゃ、"魔属性"について説明すんぞ!」


パバロはノーム用の台に乗り、黒板に五芒星を描いた。


「メリュ、メリュ!起きろ!」


「ひゃい!?」


「お前、"錬金術士"ん所行ってんだろ、"三大属性"を言ってみろ」


「え、え〜と、赤、青、黄?」


「正解だ。わかってんじゃねぇか。"魔属性"っていうのは"マナ"の構成する傾向を指す。基本的に三種類の構成形態があり、例えば赤は活性を、青は静止を、黄は確立を司っている。今の世界はこれらが混ざったり分離したりして物理法則に作用しあっている訳だ。青と赤が混じれば意思を司る紫になるし、青と黄が混ざれば循環を司る緑の属性になる」


パバロは紙を懐から取り出した。


「ただ、通常は薄く満遍なく散在していて、目に見えるほどの何かを作用する事はない。ところがだ、ある一定の条件下では濃度に差が生じるんだ」


紙にペンでFに似た文字を書く。


「これは"ガンドル"。最も基礎的でシンプルな"陣術"だ…紙とインクで"祭壇"を書いて振動…つまり"声"でその条件を人工的に再現する技術だ…」


パバロが『アンスル』と唱えると共に紙が勢いよく燃え消えた。


「今の"詠唱術"は紙やペンを使わず声帯と韻だけで"祭壇"もやってしまう高等技術だな。何か質問は?」


再びアリアは手を上げた。


「なぜ"祭壇"なのですか?」


「いい質問だ。お前は"神"を信じるか?」


「いえ、いないものは信じません」


「他ならぬ"天使"が言うか…それはいい、そうだな神はいないな。だが、向こうの世界には神どもは確かにいた。他ならぬ"存在"としてあったんだ」


「"諸力"ですか?」


「そうだ。よく知ってんな」


「マスターが教えてくれました」


 アリアの言葉にマサノリは少し反応した。

マスター…父、タカは"魔術士"の名士だった。


「ゴホン。マサノリ、大丈夫か?」


「あっ、すいません…大丈夫です」


「ならいいが…"諸力"、やつらは向こうの物理法則そのものと言っていい存在だ。そして向こうの世界が混じったこっちの世界の物理法則にもその力は届く。"祭壇"ってのは言わばコイツらに助力して貰って"奇跡"を起こしてもらう為のものって事だな。ま、ここは難しいから後で詳しく調べてくれ」


「いいかしら?」


突然、教室に副隊長が入って来た。


「ん?どうした?」


「ちょっと。隊長が大至急、全員宿舎に戻ってだって」


「おいマジか。お前ら、さっさと片付けて行くぞ」


 パバロの言葉に片付ける中、ルシファはマサノリに耳打ちした。


「なにかな…」


 皆がキャンパスから出る頃、外は曇りだしていた。

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