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竜國炎上4
その昼、マサノリ達はディジョン駅の側でホットドックを食べていた。ディジョンはマスタードの都と言われるだけあってパンの中は殆どマスタードだった。食べると口いっぱいに芥子の風味とブドウの酸味が香って涙が出てくるが、不思議と美味しい。
二人して駅の側のベンチで青空を眺めながら頬張る。
フランスの秋の空は小さな綿雲が何処までも続いていて広さを感じる。
「メリュはここにいて大丈夫なの?」
唐突なマサノリの言葉にメリュはうーんと悩んだ。
「よくわかんないけど、ああいうのは気にした方が負けだと思うから…だってどうしようもないんだもん。それに任務だし。うん、大丈夫だよ。私の変身は完璧だし、何かあればユフォが何とかしてくれるって」
「そうなのかな…」
「マサノリの気持ちもよくわかるけどさ…それを言うならマサノリや私よりユフォの方が大変なんだよ」
「えっ?」
「"赤い髪"。あれは万国共通で不吉の象徴だもん、どこいっても嫌われる。でも、ユフォはああやって堂々としてる。憧れちゃうよね」
メリュは最後の一口を食べると持ってきたもう一つの紙袋からパンを取り出してちぎって渡した。
「これは?」
「"パンデビス"。口直しに…この話は終わり!気にしたらダメ!」
食べると香辛料の風味とはちみつの甘さが口いっぱいに満たされた。




