魔森巡礼41
アガルタは複数の腕をマサノリに差し向けた。マサノリはそれをものともせず"グラム"で払った。
「はぁあああああ!」
"グラム"を振るう事にマサノリの手に生えた黒い鱗が増えていく。
(……間違イナイ、コイツ!イヤ、アノ剣!)
アガルタの影の手の一つが"グラム"を掴んだ。しかし触れた所から手は結晶化し、ボロボロに崩れさっていた。
(世界ヲ浸食シテイル!コノママデハ不味イ!)
アガルタはすぐに逃げようとしたが、一歩強く踏みしめたマサノリによって腹を斬られた。叫びと共に傷口が燃える。
「…ハァ。…ハァ。畜生…」
苦しむアガルタを前にマサノリは一切間を置かなかった。
「終わりだ…」
紅く染まった竜の眼を輝かせながら迫っていたマサノリだったが、急に眼を抑えた。
「ぐっ……ぁあ!」
右眼から真紅の炎が痛みと共に溢れ出る。思わず"グラム"を手放すと結晶の剣は地に落ちた瞬間にバラバラに砕け散った。
「ハハ…フハハハハ!」
アガルタは隙とばかりに逃走を謀った。マサノリに攻撃も出来たがそれよりも、巻き込まれる前に一刻も早くこの場から去る事を選んだからだった。
「くそ!逃げられたか!」
アリアを保護したキリたちがようやくマサノリの所へやって来た。
「やばかった。あっという間にいなくなったんだもん」
「マサノリ君、大丈夫か?」
サトウの部下の一人がマサノリの背中に触れた瞬間、ヒューマンだった部下が豚になってしまった。
「えっ…?」
豚になった部下はそのまま肉体が腐り崩れさった。
「…れて…皆、離れて!」
マサノリの渾身の叫びと共に瞳の炎が天高く舞い上がった。
「なんだ!?これ!?」
「皆!絶対にマサノリに近づかないで!その炎は竜族の"知恵の炎"…"賢者の石"と同質の物!何が起こるかわからない!」
キリの指示により全員が苦しむマサノリから離れた。マサノリから出る炎の一部が地面に落ちた。そこから奇妙な口を持った植物が次々と生えては共食いをする。
「完全に暴走してる。私の炎でも抑えきれなよ…!」
キリの側でメリュが歯を食いしばっていた。
「このままだとまた厄災を引き起こしかねない…どうすれば…!?」
マサノリの炎が更に強くなった。
その時だった。
『反逆あれ』
何処からともなくギターの音が響き渡った。
その音と共にマサノリの炎が消えた。
「ふぅ…どうにか間に合ったみたいだね」
マサノリの側に誰か立っていた。ショートカットの金髪にフランクなメンズファッション、そしてエレキギターを持った少女だった。
「やぁ皆!私はジャンヌダルク!"魔法使い"さ!」




