魔森巡礼37
「どうする?」
「どうもこうもない、ユフォ隊長と合流する。さっき"倶利伽羅"の火柱が見えた」
「しかし、まだあの怪物と交戦中なのだろう?近づいて良いものか…」
「それよりもエルー、どう行けそう?」
「ダメだねもう一号車は使えない。今の応急処置じゃどうしようも…二号車が無事でよかったよ」
「そうなると、誰かが残らないといけないのか…」
軍人たちが話し合っている所から少し離れてマサノリはルシファと寄り添うように座っていた。ルシファは疲れたのかただ黙っていた。
「マサノリ、これから、どうなるの?」
少しだけルシファが喋った。白んだ空を見て背後に"巨神"が現れた中、マサノリは一点を見つめていた。
「…わからない。一変に色んなものを失いすぎてしまった…」
向こうの二号車ではアリアがタカやルチアを収容し直して出てきた。
丁度、朝日が出た。
アリアの翼が太陽を隠していた。その背後に黒い、何がいた。
「!!?」
マサノリだけが黒い怪物に気がついた。
「見ツケタゾ、"星"ノ破滅ヲ持ツ者ヨ」
黒い腕がアリアにそろりと伸びる。
「ダメだ!」
マサノリは走り出した。
もう何も失いたくない。全霊を掛けてでも。
(…チカラガホシイカ?チカラ、チカラ、オマエノイカリ…)
また声がした。
「あぁ欲しい…!」
(…ナラバ、シレ。オマエハスデニ、チカラヲモッテイル!)
風に靡いた髪から右眼が出た。朝日の光を浴びて、紅い炎を出した。
「なんだ…見える!」
黒い腕がアリアを捕らえかけた瞬間、クナイが腕を引き裂いた。
「何者!」
キリが投げたクナイはそのまま落ちる事なく宙を旋回して腕を取られて苦しみ暴れる怪物に迫る。慌ててほかの者たちも構えた。
「メリュ!あいつ吹き飛ばして!」
キリの声にメリュは応えなかった。
「メリュ!?」
キリの横でメリュは唖然としていた。
「き、キリ、あれ…」
指をさした先はマサノリだった。
「あの炎…"竜の知恵"だ…」
「えっ?それって!?」
マサノリは走りながら眼に手を当てた。炎は熱を持たないが確かにフワフワとした感触があった。
(見える…知識…この眼が見てきた"財産"…力…世界の情報…)
「そうだ…これだ!」
(ソレハ、イカリ。ソレハ、ノロイ。ソシテ、ソノシンメイハ!)
『怒りを向けよ、"グラム"!!』
バキバキバキと炎が音を立てて結晶化していく。マサノリはまるで引き抜く様に結晶を掴み出した。
それは真紅の結晶で出来た両刃の剣だった。掴む右手からは鱗の様なトゲが生えて激痛を放っていた。しかしマサノリは痛みを気にもせず怪物に剣を振り下ろした。




