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魔森巡礼36
現れた"巨神"は森を吸い尽くすと悠然と歩みを進める。
「おい、おいおいおいおいおいおい!全員避難!!」
足元にいたアルプス国陸軍の戦車を軽々と踏み潰していく。数多の兵士が動揺から抜ける間もなく圧死していく。
「つ、劔殿と剣聖様は何処か!」
老練な出で立ちの陣頭指揮をとっていた黒服の男が戦車から叫ぶも誰も応えれず、ひたすら走っていた。
「荒巻准将」
「おぉ、ガブリエッラ様!」
戦車と並行するようにガブリエッラが飛行しながら男、荒巻に話しかけた。
「"本隊"はどうした?」
「は。すでに陸軍の支援役として後方に下げております」
「…劔は?」
「は?あ、劔殿は未だあの"幽鬼"と交戦中であります。現在位置は不明でありますが、恐らくはあの巨人の足元辺りでしょう…予定通りになさいますか?」
「うむ。では後は頼んだぞ。また会おう」
そう言うとガブリエッラは巨神に向かって飛び去った。荒巻は深く頭を下げると深く息を吸った。
「おい!しっかりせい!皆の者!剣聖様が巨人の足止めをして下さる!落ち着いて行動せよ!これより、撤退を開始する!」
あまりもの大声に混乱していた兵士たちは我に帰り、再び組織として機能した。




