魔森巡礼33
振り下ろした一撃が炎となって地面を抉り取りながら魔女に向かって行った。
「きゃははハハハハハ!楽しいわ!」
数多の巨大な木々が夜空を舞う中、ギャビレットはそれらを避けながら炎の束に向かって直進すると腕を刃に変化させ、受け止めて吹き飛ばした。
「おりゃあああ!」
刃の腕から風を起こし周囲を巻き上げていく。
ユフォは自分の背の丈を超えるほどの岩石が飛ばされて行く中を炎を纏いながら進み、暴風の隙間からギャビレットの後ろに回り込み"俱利伽羅"の剣先で突き刺す。
「はん、遅い!」
ギャビレットはすかさず風を盾に変えて剣を止めた。
「捕まえたわ!」
余る片手を数十の刃に変えて振り上げた。
『三昧真火』
ギャビレットが振り下ろす前にユフォが唱えると、盾に触れていた剣先から炎が溢れ出てギャビレットに襲いかかった。
「なーんちゃって」
身を包む炎をギャビレットはものともせずまるで服を破り捨てるように剥ぎ払う。
「後ろ、がら空きだぜ嬢ちゃん」
パバロは詰め寄るとギャビレットの背面に紙を貼り付けた。
『アローメーズよ』
どこからか女の声がすると、パバロとギャビレットの間に猛烈な勢いで樹木が生えた。樹木はあっという間にギャビレットの頭上まで成長した。
(囲まれた?いや、これは…)
考えるより先にギャビレットが動こうとした瞬間。
(動け…ない!)
『笑え、お前の心に毒を注ぐ苦しみを』
背中に張られた紙には三重になった"魔陣"がパバロの"詠唱"と共に光り輝きギャビレットをその位置に留めていた。
「蒸し焼きだ!」
パバロの叫びと共に"倶利伽羅"から爆炎が放たれた。
「キャアアアアァ!!」
囲む樹木から発生した蒸気と共に超高密度の熱がギャビレットの身体を焼いていく。ユフォはこのまま骨も残らず燃やし尽くそうとしたが、
「マズいっ!」
紅く光り輝くギャビレットが爆発した。周囲の樹木やユフォは何百メートルも吹き飛ばされた。
「ユフォ!」
副隊長はすかさずユフォの元に駆け寄る。樹木の残骸に押しつぶされかけていたユフォだったがすぐに立ち上がった。
『ウチシュマーよ解穢に致せ』
淡い桜色の炎がユフォから発せられ、身体を癒していく。そこへ副隊長とパバロが来た。
「やべぇな、ありゃ。付き添いの"幽鬼"見失っちまった」
「私たち三人揃っても互角以上の化け物よ。メリュがいても押されるかもしれない」
三人の手前では巨大で紅の光を放つ爆煙がぐつぐつと天にまでのぼろうとしていた。
「どうする?」
副隊長は杖を構えながら尋ねた。治療の終わったユフォは"倶利伽羅"を見つめ手でさすった。触れた刀身が僅かに光る。
「"火界咒"を使う」
「だよな、あーいう奴は最大火力で一気にやるしかねぇ。言うと思ったぜ」
「二人とも、もう一回手を貸して」
了解。と二人は強く返事をした。




