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魔森巡礼25
森から離れた何処かで、見すぼらしい騎士、アルヴェロンは高い崖から森を眺めていた。
「今日は何かと騒がしいな」
アルヴェロンは懐から小さな板を取り出した。旧世界でそれは"携帯電話"と呼ばれるものだった。本来しないはずの電子音を鳴らしながらある所へかける。
「あぁ、今大丈夫かな?ああそうか、いや、少し予定にない事が起った。ギャビレットとマグメルとアガルタだが…"太陽"より先に"星"を見つけたようで、どうやらそっちに行ったみたいだ」
電話の向こうからため息がした。
「あぁわかったよ。陛下にも伝えて置いてくれ。それではミス=ガルチ」
電話を切り風に吹かれる。月明かりが雲の隙間から漏れていた。
「でんわ、終わったの?」
アルヴェロンのすぐ横で小さな声がした。彼の肩にそれはちょこんと座る。身長十四センチメートル程の四枚の虫の羽を生やした
"赤い髪"の小さな人間。いや"妖精"だった。
「すぐに向かう」
風が強く吹いた。




