魔森巡礼24
ユフォたちから北に大分行った先にディジョンと呼ばれる街があった。かつては"ブリュゴーニュ公国"の首都であり、この地方の中心地であった。そして今は"フランス共和国"の首都をパリに代わって置かれている。
"大混乱"の際、波のようになって東側に逃げてきた人々の大半は交通機関の麻痺し自然が猛威を振るうアルプス山脈とジュラ山脈に阻まれた。さらに難民拒否をしたスイスによって唯一の抜け道であるレマン湖を封鎖され取り残された。押し寄せる魔族の脅威に対し、壊滅したパリとは違いまだ政治機能があったこのディジョンで人々は抵抗し続けた。それから半世紀を掛けてフランスは再び息を吹き返したのだった。
フランス共和国は基本的にスイスとは国交を断絶しているが、アルプス共和国とは魔の森の線路を利用した物質や機材、特に"魔器"の取り引きで国交があった。
サトウは夜になる前にディジョンに到着した。ホームの側にある詰所で給水塔と呼ばれる巨大なタンクから列車の蒸気機関部へ注水するのを見届けながらユフォとの戦いで負った傷の手当てを受けていた。
「それで、大統領とはいつ話せる?」
「先程、五レベル相当の要請書を送りましたのでそろそろかと」
サトウは軽症だった副官と話していた。
「うむ。とりあえず今は本国の様子が知りたい。持って来た荷物も彼らに殆ど持っていかれてしまった。もう殆ど駄目になっていると思うが回収しなければな」
「我が隊は現在死者一七名、行方不明六名を出しております。戻っても処分が下ると思いますが」
「構わない。私の任務は"荷物を送り届ける"事だけだ」
「……」
それっきり沈黙が続いていたが、慌しい足音と共に、入ってきた部下によって破られた。
「隊長!大変です!」
「どうした?もう大半の事では驚かんぞ」
「今、大統領事務総副長から連絡がきまして…"反逆の魔法使いジャンヌダルク"を直接派遣したと!」
「なんだと⁈」




