魔森巡礼15
暗い路地の奥を行くと突き当たりになっていた。「七味整備」と書かれた錆びれた看板が立っており、底知れぬ闇の様な入り口があった。
「本当に此処でいいのかな…」
一人で心細くなっていたアキはただ立ち尽くしていた。
「にゃーにゃーにゃお(このさきかられおのにおいがするよ。いこうよ)」
鞄に押し込められてやっと外に顔を出せたキャスがアキの顔を見つめていた。
「そのレオさんって、本当に信用できるの?」
「にゃあ(それはもちろんだとも)」
「おい、何してる。用があるならさっさと入ってこい」
闇の奥からの男の声にアキは驚いた。
「お、お邪魔します…」
おそるおそる狭く暗い通路を歩いて行く。下に転がった何かの部品に足が当たりカラカラと音が響いた。
しばらく行くと広い空間に出た。
「ここは?」
そこには巨大な翼を持った船があった。奥の方の壁は開かれていて海が見えた。
「船の中に船が…」
「お、やっと入ってきたか…ってお前…まさか。」
男が一人近づいてきたが、今暗い所を来たアキの眼がまだ慣れておらず、ただ男が少し驚いているのがわかった。
「あ、お邪魔してます。私、アキタ=アキっていいます。あの、七味…レオさんという方に会いに来たんですが、いらっしゃいますか?」
「あっあぁ。俺がその七味だが…お前、もしかしてアリスの娘か?」
「あっそうです!良かった…ってあれ、えっ?」
やっと眼が慣れてきたアキはまた驚いた。男は母と同じ猫の獣人だったからだ。
「そうか。随分成長したものだな。会うのは初めてだったな。俺はアリスの弟の七味=レオポルドだ。よろしく姪っ子」
「よろしくお願いします。えっと叔父さん?」
二人は握手した。細身だが、鍛えられた身体と茶色ががった毛がとても力強くアキには感じた。
「その赤いマフラー。母親から貰ったんだろ」
「うん。旅のお守りにって。キャスと一緒に」
「ん?キャス?」
突然、鞄からキャスが飛び出してきてレオに抱きついた。
「にゃにゃーん!(ひさしぶりーれおー!)」
「おぉ!キャスパリーグ!お前も来ていたのか!って事はアリスも来ているのか?」
「あっいえ…母は今、入院してて…」
急に顔を暗くしたアキを見てレオは眉をひそめた。
「何かあったのか?」
アキが頷くと持ち上げていたキャスを下ろした。
「話は中で聴こう。ついてこい。今は人が出払っているからそういう話には丁度いいだろう」
レオは目の前の船の中へと入っていった。




