魔森巡礼11
列車は給水所の近くまで来ていた。
客車に待機していたビリガーが顔色を悪くしていたマサノリに声を掛けた。
「あ、いや、なんかソワソワしてしまって…」
「そうなのか、まぁ俺も"魔域"なんて初めてだから心臓バクバクだけどな。そんなもんさ」
「いや、そうじゃなくて…」
「ビリガー!ちょっと来て!」
慌てた様子のカーラがビリガーを窓の方へ連れ立った。
「あのパイプ見て!」
線路の両端に透明なパイプが敷かれていた。
「なんだ?黒色になってるな」
「確か、あのパイプに湖からの水を流して結界を張ると同時に何かあれば水を着色させて合図を送るシステムだったはず…!黒色の染料が流れた時は緊急事態のサイン…何かあったんだよ!」
「落ちつけって、何かあればもう列車は停車しているはずだ。ここは彼ら西警隊に任せよう」
「でも!」
カーラがビリガーに何か言おうとした時だった。
ズドンっと大きな振動に全員が倒れた。そして、マサノリたちの乗る客車は走行する列車から切り離され、宙を舞った。
「どうした!?」
サトウが叫ぶと部下が慌ててやってきた。
「た、大変です!パイプが、突破されました!後方より"エント"一体が襲撃!十四、十五号車が、線路外に吹き飛ばされまた!」
「な…に!?」
報告を聞いていたユフォは目を見開いて立ち上がって後ろへ行こうとした。
「まて、ユフォ大佐!ここで待機だ!自分だけが部下を安じていると思うなよ!」
サトウに叫びにユフォは少し考えた後、腰の得物を抜いた。
『我、双炎ニシテ悪ヲ滅スル』
ユフォの周りに炎で出来た一対の竜が姿を現した。辺りにあった書類が燃えて吹き飛ばされる。
「それが"倶利伽羅"か…だが、貴様を行かせる訳にはいかん。"魔域氾濫"において勝手に動く事がどれだけ危険かわかっているだろ!無闇に"氾濫"を広げる気か!?」
サトウはサツペンダーから銃を取り出した。
『我が道に光が七つ。帳深く青を導く!』
サトウが銃を向け唱えると青い光の剣が宙に現れた。
「"契約兵装"を持つのが自分だけだと思うなよ。我が"曜変天目"はしぶといぞ!」
次の瞬間、二匹の竜がサトウに襲い掛かった。




