魔森巡礼6
ブッソレーノ地区に着くと先に着いていたキリが検問所と交渉したおかげですんなり通行許可が降りた。
「あんな許可書でよく通行許可が降りましたよね」
ビリガーは運転をしながらとなりの副隊長に話しかけた。今走っている"E70.A43線"はトリノからシャンベリーまでの間を繋ぎ、延々と外灯が等間隔に並ぶアウトバーンとなっていた。深夜なので車通りも少なく、静かだった。
「一応、剣聖の判もあるから」
席の後ろからユフォが顔を出した。
「なんだ、起きてたんすかユフォさん」
「眠れなくて」
「寝不足は女の敵よ」
「エルフには敵じゃないよ、不老だもの」
「うわ、言ってみたいそんなセリフ」
「ヒューマンやドワーフは普通に歳を取るからね。でも、エルフでも疲労は溜まるから時間があるだけ寝た方がいいわよ。エルフの死因は外傷と過労が主だもの。なにより、隊長である貴方がダウンしたら一番駄目」
「わかっている」
「それより今、どこらへんすか?」
「多分オレルを過ぎた辺りかしら。さっき表示があったわ」
「それじゃもうフランス…いやスイス領に入ったんすね。俺初めてだなぁ国境越えるの」
「これから嫌になる程国境を越えると思うわ」
「ユフォさんたちはスイス出身でしたもんね」
「えぇ、私はこれから行くジュネーブ、ユフォはベルンの出よ」
「副隊長ってジュネーブだったんですか」
「小さい頃だけだけどね。育ちは第二地区よ」
「二地区っていうと…ボローニャですか」
「そうそう、パスタが有名な所でね、ってさっきからうるさいな!誰のいびき?」
後ろではカーラが爆睡していた。他愛もない会話を続けながら二台の車は進んでいく。ただ延々と続く外灯が彼らを誘うように照らし続けるのだった。




