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補習

 私の婚約者、ひかるが担任になってから大分月日が経った。

ちなみにひかるは元男の現女性。

性転換する前はたくましい男の子だとは思っていたけど今では大人びた女性だ。

私の家に来た頃よりも大分女っぽくなった。


 彼女の授業はかなり分かりやすかった。

今までよりも授業の理解度は増したと思う。

そして家に帰ってからも個人的な授業がある。

クラスメートからはズルいとも言われているが私は役得だと思っている。

そしてもちろん成績もぐんぐんと上がっている。

ひかるは私のことをひいきにしていないと言っているが私は充分ひいきにしてもらっていると思っている。

何せ同じ屋根の下で暮らしているのだから。

(と言っても試験だとかの重要情報は教えてくれませんが)


 ある日、ひかるは大きなため息をついていた。

私の成績についてだ。

座学に関してはひかるが充分自慢出来るほどの成績だと思う。

問題は実践だ。

私は自慢では無いが運動音痴。

どうも思った通りに体を動かせない。

クラスメートはどんどん上達しているのに。


 その日、授業が終わり私だけが放課後残るように言われた。

ひかると1対1の補習をするためだ。

クラスメートからはイチャイチャしないようにと釘を刺されもしたが余計なお世話だ。

私は剣士になるという夢がある。

そんな余裕はない。


 私は放課後急いで学校付属の道場へと向かった。


 そこには既にひかるが立っていた。

私が急いで道着に着替えて道場に来ると

「遅い!!」

と一喝してきた。


 いつも思うのだが道場のひかると授業のひかるは雰囲気が違う。

道場のひかるはかなり怖い。


 ひかるは

「まずは剣を構えて」

と私に指示をした。

私は言われるがまま剣を構えた。

「それでは剣に能力をまとわせてください。

あなたの能力は炎でしたね。

私と同じく」

私は剣に炎をまとわせる。


 私にとってはこのことが苦痛だった。

未だに自分の能力をコントロール出来ない。

この能力を出す度にやけどをするのだ。

そう思っているとひかるがそっと私の手を握ってきた。

ちょっと慌てたがひかるは

「この炎の能力は大変なんだ。

コントロールをするのが。

慣れれば全身が炎に包まれたとしても火傷をしない。

火傷をしないためにはオーラのコントロールが必要。

手には防御のオーラを二重三重に巻くつもりで。

炎は剣の刃に集中するつもりで。

そうすれば火傷をすることもない。

後は慣れ。

とにかく集中することだ。

炎の能力はとにかく会得するのが難しいんだ。

これは理屈ではなく体で覚えるんだ。

とにかく深呼吸しながら炎を見つめ集中するんだ」


 私はひかるのアドバイスを胸に1時間、炎のコントロールに集中した。

そしてその日の補習はこれで終わった。


 次の日の放課後は意外なモノが待っていた。

と言うのもその日はどうしても外せない用事があるのだとかでひかるはいない。

その代わりにひかるの召喚獣が4体道場にいた。

虎、竜、孔雀、鳳凰と。


 そういえば授業中にひかるからもらった手紙がある。

友達はラブレターだと勘違いして囃し立てていたが私は違うと確信していた。

その手紙をまだ読んでいなかったが今読んでみた。

「放課後は私の召喚獣と闘ってね♡」

たったこれだけの文章だった。

説明がなさ過ぎる。

私が戸惑っていると私の前に虎が立ち塞がった。

虎は

「まずは私と闘ってね。

とりあえずあなたの俊敏性を高めるための授業だから。

私は攻撃をしません。

私に一撃でも与えられたら今日の授業は終わりです」

と言って私の周りをぐるぐると回り始めた。

私が手も足も出ないとその虎が気づくと呆れたような顔をして私が見えるようにスピードを落としてくれた。

それでも私にとっては手を出すのがやっと。

もちろん、その日に課題をクリアーすることは無理で次の日の放課後に持ち越し。

結果、虎に一撃加えるのに一週間はかかった。


 次は竜だ。

「今度はあなたを攻撃します。

あなたと同じ能力の炎で。

あなたは耐えてください。

とりあえずひかるが設定した能力値まで耐えることが出来たら合格です。

一応、あなたが怪我しないように能力は抑えておきます。

防御の方法はひたすら自分のオーラを巻き続けることです。

一定時間立ち続けられたら合格です」

この補習のクリアーにも一週間かかった。


 孔雀の補習内容は風だった。

孔雀の出す風に耐えながら孔雀を捕まえる訓練だ。

孔雀の出す風は強烈で近づけば飛ばされてしまう。

そしてとても素早い。

孔雀のスピードに目を慣らすのに時間がかかった。

そして孔雀は真横にしか風を作れないことを見抜きお尻から掴むことでこの課題をクリアーした。

もちろん、一週間はかかったが。


 最後の課題は鳳凰。

鳳凰は火の鳥だ。

私は炎に包まれた鳳凰を素手で掴まなければ行けなかった。

しかも道場自体が火の海だ。

鳳凰に近づくことすら容易ではない。

これは炎の能力をコントロールする最終試験みたいなモノだった。

そして一週間変えて課題をクリアーした。


 課題を全て終えるひかるがやって来た。

「よく頑張ったわね。

これであなたはクラスの平均値にまで上がることが出来たわ。

これからも頑張ってね」


 これだけ頑張ったのにクラスの平均値って。

そう思うと途端にガクッときた。

その様子を見たひかるは

「これだけ頑張ったんだ。

今夜はご褒美だな」

と男言葉で話しかけてきた。

今夜は久しぶりにイチャイチャ出来そうだ。


 後、言っておくけど私たちはプラトニック(精神的)な関係性でエッチな意味じゃないんだからね。



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