卒業式(入学式)
突然ですが私には彼氏がいます。
私のことをいつも気遣ってくれるとても優しい彼氏です。
今は性転換して女性ですがそれでも付き合っています。
私は外見では無く彼の中身に惚れたのだから。
外見が変わろうとも彼を愛することが出来ます。
友達はなかなか出来ないことだと言っていたけど。
さて、話が変わりますが今日は卒業式です。
長かった小学校6年間は今日をもって卒業です。
4月からは中学生です。
と言っても通う学校は同じなので環境は変わりませんが。
前世の記憶を持つ私にとって小学校はとても簡単なものでした。
習った内容は前世とそう変わらなかったし魔法やこの世界の出来事は私が想像した以上のものでは無かった。
だから学問では私は首席を取った。
前世の記憶を持つチートだから当たり前だが。
問題は体術。
この世界の能力や魔法は初めての体験で覚えることが多すぎる。
しかも私の両親は小学校に上がるまでに必要なスキルを一切教えなかった。
怪我をしたら大変だとかで。
これでも私はお嬢様だから。
そのおかげでひ弱な体力しか身につかず人並みの体術を身につけるのに苦労した。
まだ人並みとは言えないけれど学校のない日は彼の指導で大分よくなってきたと思う。
彼は指導の時と2人でデートする時は口調が大分違う。
指導の時は
「お嬢様、姿勢がなっていませんわ。
そんな姿勢ではすぐ殺されてしまいますわよ」
と必要以上の女言葉を使う。
そして、指導も非常に厳しい。
ていうかひかる(私の彼氏)はかなり天才のくノ一。
出来ない人間の苦労を知らない。
だから私が出来ないのを見てなぜ出来ないのかと不思議がっているぐらいだ。
とにかく最近はスパルタが凄い。
そして夜、一緒の部屋で過ごす時は
「僕は君と出会えて幸せだよ。
君と出会えたことで本当の自分を解放することが出来た。
君は年下なのになぜか年上のように僕を包んでくれる。
君は僕にとって最高のお姫様だよ」
と歯に衣着せぬような恥ずかしい言葉を平気で言ってくる。
さっきまでの修行でのスパルタが嘘のように。
彼は続けて
「そうだ、君に知らせたいことがある。
大学も専門学校も3月に無事卒業することが出来る。
自慢じゃ無いけど一応、全て首席なんだぜ。
それと4月にサプライズがあるんだけどそれはまだ内緒。
楽しみにしておくといい。
きっと君が喜ぶことだから。
じゃぁ、お休み。
僕の美しいお姫様」
と言ってお互いの部屋に入った。
ちなみにこれらの台詞は見た目美少女のメイドから吐かれる。
もう慣れてしまったが最初は違和感しか無かった。
もちろん私は彼もとい彼女を愛している。
ちなみに私たちには肉体的な接触は無い。
あくまでもプラトニックな関係だ。
彼も私が大人になるまでは手を出さないと言っているし。
彼は実に紳士なメイドだと思う。
さて、話を戻すと小学校ではいろいろなことがあった。
友達と一緒に魔物とも対峙した。
あまりにも私たちの実力が乏しかったことからしばらく魔物退治は禁止されたけど。
友達もきょうちゃん、はやちゃん、みどりんとかけがいのない仲間が出来た。
どの友達も私には申し分のないもしくはそれ以上の友達だ。
時には喧嘩もするけれど本当に一生の友達だと思っている。
そんな思いを込めて今日私たちは小学校を卒業した。
短い春休みの期間、ひかるとイチャイチャ出来る期間だと思っていた。
しかし、それは違った。
ひかるは学校を卒業したことでくノ一の任務に本格的に就き家を空けていた。
家に帰ってくるのは4月になってかららしい。
そして、4月になってから私の護衛兼メイドとして私の家に本格的に仕事をするのだという。
それまでは寂しすぎる!!
私は連日、友達を家に呼んでいろいろと遊んだ。
彼のいないストレスを埋めるよう。
それにこの世界にはない前世の記憶に基づく遊びも結構知っている。
とりあえず充実の春休みだった。
4月、入学式となった。
と言っても通うのは先日卒業式を行った学校。
果たして卒業式の意味があったか分からない。
とにかくこれから6年間また同じ学校に通う。
前世の世界で言うと中高一貫と言ったところか。
そういえば、結局ひかるは帰ってこなかった。
もちろん今朝も会っていない。
一体いつになったら会えるのだろうか。
そう思いながら私は教室のドアを開けた。
(ドアと言っても実際には障子なのだが)
ドアを開けるといつもと代わり映えのしない風景。
もちろん私の友達もいる。
前の小学校の時の担任は一応けじめだからと卒業式をやったが何の意味もなかった。
でも、中学校から担任は替わるらしい。
一体どんな人が来るのかと私は期待していた。
新しい担任が教室のドアを開けると私はビックリした。
担任は
「私が新たに6年間の担任になる伊従 飛華流です。
これからよろしくお願いします」
教室がざわついた。
私たちの事情を知っているのはクラスの中のごく一部。
私たちももちろん驚いたがクラスのみんなが驚いたのは彼女が美少女だと言うこと
しかし、彼女は続けて衝撃の告白をした。
「いずれ分かることだから今言うわね。
私は元男。
元男だからってあまり気にしないでね。
今は心も体もみんなと一緒の女だから。
男の時の事なんて忘れたし。
それとみんなに行っておかないといけないのはこのクラスの二条院 美淑さんとは許嫁関係にあるの。
それは私が性別が変わる前に決められたことなんだけど。
今の私でもいいと彼女は言ったわ。
とりあえずそういうことだから」
もちろん、その告白にクラス中が沸いた。
この後、私はみんなから質問漬けにあった。
告白をした当の本人は担任だからと言うことで上下関係を盾に質問には逃げていったけど。
本当にそういう所はズルい。
彼女は家に帰った後、謝っていたけど。
これから学校でも家でも彼女と同じ空間にいることになる。
とりあえず、これからの6年間が楽しみだ。