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婚約者

 今日は待ちに待った婚約者の来る日。

私はこの日が来るのを首を長くして待っていた。


 3年前だろうか私が彼に会ったのは。

見た目も凄く格好良く、頼りになるお兄さんと言った感じだった。

5つも年が離れていたのだが私たちはよく気が合い、お互い一目惚れだった。

私はパパにこのことをすぐに言い、彼もすぐに両親に娘のことを言ったらしい。

私の両親と彼の両親は凄く仲の良かったことからすぐに許嫁となった。


 それから1年後に不運な事故。

彼の両親は残念なことに亡くなってしまった。

その事故で彼も瀕死の重傷を負い生死をさまよった。

その後の2年間のパパの援助で彼は立ち直り今日私の家に来ることになったのだ。

一つ屋根の下で彼と一緒に過ごすことを考えると今からでもドキドキする。


 私は自分の家の正門で彼が来るのを今かと待っていた。

しばらくすると私の家の正門に馬車がやって来た。

相変わらずこの世界はシュールだ。

時代設定は恐らく幕末でありながらいろんな時代や文化が混じっている。

と言っても馬車自体とても珍しい存在なのだが。


 その馬車からメイドさんらしき女性が降りてきた。

そういえば今日はメイドさんとボディガードも来ると聞いていた。

メイドさんはしばらくパパと話し合っていた。

なにやら真剣な話しぶりだ。

そういえばメイドさんも住み込みだと聞いている。

今後のことについて話し合っているのだろうか。


 しばらくするとそのメイドさんが私に話しかけてきた。

「こんにちは。

前にもあったことがあると思うのだけど分かるかしら。

多分分からないと思うけど」

私は頭にハテナが浮かんだ。

全く見たことのない女性だ。

私が不思議がっていると彼女は

「自己紹介するわね。

私は今日からメイドとして働く伊従いより 飛華流ひかる

メイドと言っても去年から専門の大学に通っている卵だけどね。

それに驚かないでね。

同時にくノ一の専門大学にも通っているの。

だからあなたのボディガードも兼任ってわけ」


 「!?」

なんか話が変わってきた。

メイドさんとボディガードが同じ人だなんて聞いていない。

それから彼女はしばらく黙っていた。

何か重要なことを伝えたいようだが勇気が出ないと言った感じだ。

しばらくして彼女は意を決したように

「後、大事なことを言わなければならないの。

実は私は2年前に事故に遭ったの。

生死をさまようぐらいのケガだったわ。

その事故で両親も亡くなったし」

「!?」

どこかで聞いたような話だ。

彼女は続けて

「あの事故で私は本当に苦しんだ。

だってまさか事故で性別が変わるだなんて思わなかったから」

「!?」

「もう気づいていると思うけれど私はあなたの婚約者、伊従いより 飛華流ひかるです」

私は思わず「え〜!!」っと叫んだ。


 そして間髪を入れずにパパが入ってきた。

「つもる話もあるだろうから詳しくはみよし(私)の部屋でしなさい」

そう促され私たちは自分の部屋に向かった。


 私の部屋に着くなり彼女は

「カワイイ!!

私、こんな部屋に憧れていたの!!

男の子だったからこういう部屋にするのは抵抗があったし」


 私は彼女の代わりぶりにただただあきれるばかりだった。

しばらくすると彼女の様子が変わった。

彼女は

「ここからは男の子モードで話すね。

僕は君に会えなかった3年間、本当に苦しかった。

手紙のやりとりはしていたけどね。

2年前に両親が亡くなった時は本当にガックリした。

性転換もしたしね。

その時に援助してくれたのが君のお父さん。

君のお父さんは本当に良くしてくれた。

感謝しているよ。

しかし、性転換したことは本当に嬉しいんだ。

昔から男の子と連むより女の子と連んだ方が気が楽だったし。

元々、心が女性だったから本当に良かった。

でも、恋愛対象は女性だよ。

君のことが本当に好きだからこうやって打ち明けるんだ。

もしも僕のことを好きになれないんだったら即婚約解消しても良いんだ。

僕はそれを覚悟している。

それぐらい君を大事にしたいんだ」


 彼女の決意を私はしっかりと聞いた。

性別は変わったけれどあの頃と中身は変わっていない。

私はそう思い

「覚悟は分かったわ。

性別が変わったぐらいであなたを嫌いになんかなる訳がない。

私はあなたの中身に惚れたの。

まだ、私たちは年齢は幼いけれど将来結婚したいと思う気持ちは本物よ」

私たちは許嫁関係を続けることを了承した。


 彼女が性転換したことには驚いたけれど彼女の男気?に私は改めて惚れた。

しかし、10歳の女の子がここまで普通に覚悟が持てるものだろうか。(自分のこと)

前世の記憶があるとは言え10歳の自分の度胸にかなり驚いた。


 彼女は続けて

「僕は君の前だけ男言葉、その他の場面では女言葉を使用します。

君だけにはかっこいい僕を見て欲しいから」

美少女の姿で言われても説得力がないのだが。

彼女は

「僕はメイドの学校、くノ一の学校の他に文系の大学と理系の大学にも通っているんだ。

月火はメイド、水木はくノ一、金曜日は文系、土曜日は理系の大学に通っている。

でも、極力君との時間を大切にしたい。

大学に行く時は大体1泊2日だから、その間は寂しい思いをさせるけど」

彼女のしゃべり方は非常にかっこいい。

声もどちらかというと女性の声ながら少年声だ。

女の子モードの時と違って出来るだけ低い声を出そうとするその健気な姿勢もカワイイ。


 それから、彼女は私の部屋の中でも私が使っていないスペースで過ごすことに決定した。

性別が変わったけどかっこいい彼女と一緒に過ごせる日々がこれから続くのだと思うととてもドキドキします。




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