再び北海道・札幌・ススキノの飲食店から
「それでは、参りましょうか。」
女神がささやく。本当は旅の始まりは東京駅にしたかった風来坊だったが、次の瞬間、意識を失う風来坊太郎。
旅のスタートは、東京駅、ではなくて、気がついたらそこは札幌の時計台の手前だった!
一見すると、そこは今まで自分らが過ごしてきた人間界と何ら変わらないように見えたが…。
風来坊太郎の旅は、こうして北海道の札幌から始まる…。
北海道札幌市。市の人口は約190万人以上。政令指定都市であり、北海道の道庁所在地である。
道路には市電が走り、また地下には市営地下鉄が走っている。
石原裕次郎が歌った『恋の街札幌』や、桂銀淑【ケー・ウンスク】という韓国だかどこだかの歌手が歌った『北空港』など、歌の舞台にも数多くなっている。
まあ、そんな蘊蓄とかは置いといて、とりあえず街中を適当にブラブラしてみることにした風来坊太郎。
風来坊がこれまでに入手している情報では、こんなところだが、札幌は奥が深いと見て間違いない。
もっともっと、この町のことを知りたいと思った。
ススキノという繁華街が最も賑わっているところで、キリンとニッカの看板のあるビルが目印になっている。
そのススキノにある一軒の飲食店に入って、まずは腹ごしらえをすることにした風来坊太郎である。
ススキノには、海鮮居酒屋や洋食レストランなどの何十軒もの飲食店が軒を連ねる、まさに歓楽街だ。
風来坊太郎が入った先は、やはり洋食レストランだ。
その中でもここは、ハンバーグとカレーライスが好評だと聞いていた。
「いらっしゃいませ、あらあなた、この辺じゃ見かけない顔ね。」
女性店員が話しかけてきた。さっそく注文をとることにした。
「じゃあ、ハンバーグセットと、カレーライスで。」
ハンバーグセットとカレーライスを同時に注文した風来坊太郎。
やっぱり、この店に入ると思ったよ。この店は、ススキノの飲食店の中でも1、2を争うくらい、ハンバーグとカレーライスがおいしいと評判の店だから。
ハンバーグセットにはライスもつくが、そのライスの代わりのカレーライスという組み合わせ。
「お待たせいたしました。ハンバーグセットと、カレーライスです。
ご注文は以上でよろしいでしょうか。」
「はい、以上で。」
おっと、ここで忘れてはならないのが、インスタやブログにアップする写真を撮影することだ。
撮影が終わったらいよいよ試食に入る、というのが常だ。
「いただきまーす!」
ナイフとフォークとスプーンで食べる。
ハンバーグはいわゆるデミグラスソース。ナイフでハンバーグを切り分けるのは、手慣れているような感じの風来坊太郎。
切り分けてからフォークで刺して食べる。スプーンは当然、カレーライス用に使う。もちろん福神漬けもいれておく。
もちろん、大好物ということもあり、見事に間食した風来坊太郎。
腹ごしらえも済ませたので、次は市電と市営地下鉄に乗りに行くか。
それから、北海道各地をまわる予定だが…。
「さて、これからどうするか、一人旅というのも気ままでいいが、寂しいものでもあるな…。」