47都道府県と市区町村も巡る!さらには離島まで巡る!全国漫遊旅に隠された、女神から伝えられた恐怖のルールとは…!
風来坊太郎の実家は、東京都練馬区にある。
したがって、その時点で東京都練馬区はクリアとなるが、全国漫遊旅は、まさにここから始まる。
風来坊太郎はいつものように電車に乗り、東京都練馬区の実家に帰宅していた。
そうしていつものように帰宅してみると、なぜだが知らない女が、勝手に風来坊の家に上がり込んでいた。
「初めまして。私は女神です。」
女神と名乗ったその女は、たしかあの時に、トラックに跳ねられた時に出会った、あの女神によく似ていた。
というか、もしかして、あの時の女神か!?
「また会いましたね、風来坊太郎さん。」
やはり、あの時の女神だ。
「おいちょっと待てよ。許可もなく勝手に人の家にいきなり上がり込むなんて、どういうつもりだよ。」
勝手に家に上がり込まれたことに腹を立て、ついムキになってしまった。
「ごめんなさい、そのことで気を悪くされたのであれば、謝ります。
あなたにどうしても伝えたいことがありまして、それで上がらせてもらっていたんです。」
「伝えたいこと?それは何なのさ。」
「今日はあなたに、この全国漫遊旅のルール説明に来ました。」
全国漫遊旅、いよいよ始まるのか、そして始まったが最後、全国漫遊旅は続いていくということ。
47都道府県、だけでなく市区町村も旅しなければならないという。
「ちょっと待て、それって強制なのか!?」
大都市圏とか、全国区の観光地とかがあるようなところなら、誰もが行ってみたいと思うだろう。
問題なのは、市町村合併によって合併後の市の一部になったようなところとか、あるいはローカル線沿線とかの過疎地域、さらには観光船でしか行かれないような離島なども、足を踏み入れる必要がある。
それが終わらない限り、この全国漫遊旅は永久無限に続いていくそうだ。
「疲れたら、自宅や宿で休養を取るのは自由ですよ。」
いつか日本中、世界中を旅することが夢だと語っていた手前、このような形でそれが叶うというのは、本来なら喜ばしいことだと思えるはずなのに、なぜだか知らないが、言葉ではなんとも言い表せないような、そんな感情が芽生えていた。
「それでは私はこれで。翌朝にはまた迎えに来ます。」
女神と名乗る女は、その日はそこで家を出て、いずこともなく去っていった。
「さてと、今晩のメシにするか。」
今晩のメシは、ご飯と、わかめと豆腐の味噌汁と、それとレトルトパックのハンバーグと、添え物のサラダと、飲み物は麦茶。
今はハンバーグもだいたいレトルトパックだな。
風来坊太郎は一人暮らし。
配偶者もいない、一人の夕食。それも自分で用意する。寂しい男だ。
「はあ、今日もいつものように、これの繰り返しか。
なんだか毎日、同じような日々でつまらないなあ…。」
それでもハンバーグは好きな食べ物なのだが、本当に毎日、こんな感じだ。
食事を済ませたら布団をしいて、風呂に入り、風呂から出たら本日のニュースチェック。
ニュースチェックもネットニュースで済ませるやつもいるようだが、それでもまだまだ、テレビや新聞のニュースの方が、信憑性があるという理由で、テレビのニュースや新聞記事を見ている。
それらのことがひととおり終わると、ようやく歯を磨いて、就寝時間。
これが、風来坊太郎が毎日のように繰り返している、1日の流れだ。
あくる日、起床して布団をしまい、朝食を済ませ、玄関のドアを開けると、そこには女神と名乗る例の女が、やはり立っていた。
そして、手渡されたのは、全国漫遊旅の記録の書という、ノートブックだった。
風来坊太郎が全国漫遊旅で訪れた先
北海道
東北
関東
東京
中部
甲信越
東海
北陸
近畿
中国
四国
九州
沖縄
全国漫遊旅でその土地を訪れるたびに、その場所が記載されていくというルール。
現時点ではスタートラインに立ったばかりなので、まだ何も記載されていない。
「まずは、北海道なんてどうでしょうか。
北から南へと向かうルートです。」