せっかく熱海に来たのに…!そこで出会った『熱海姫子』『月夜未高麿』『東 京也』
「間もなく、終点の熱海に到着いたします。
長らくのご乗車、まことにありがとうございました。」
ついに熱海に到着した。
「はーい!私は熱海市の擬人化キャラ、熱海姫子といいます!」
僕らを出迎えてくれたのは、熱海姫子。熱海市の擬人化キャラだという。
が、旅を進めているうちに、現実世界はとんでもない方向へ進んでいるということに気がつく。
まずは熱海市役所の観光課へと向かう。
「観光といえば、観光課だな。」
ところが、熱海市役所にいってみると、なんとその熱海市役所の建物が、そっくりそのまま消滅してしまっていて、空き地になってしまっている。
「おいおい、これはいったいどういうことだよ。」
いったい何が起こったのか、現実のこととして受け入れられずにいた。
「何なんだこれは…。」
そこに、臨時ニュースが入った。
「政権交代があったようです。
与党政権が倒れ、代わりに政権をとったのは、
『リベラル主民共栄党』なる政党のようです。
そして、総裁、月夜未高麿のかたわらで、彼を護衛するのは、
『都道府県47使徒』と呼ばれる使徒たちの中でも東京都代表の、
東 京也なる人物のようです。」
「いったい何がどうなっているんだよ!
こんなんじゃ、のんきに旅行なんかしてられるかってんだ!
何か大変なことが、とんでもないことが起きようとしているんじゃないかって、
せっかく熱海に来て観光を楽しもうと思っていたのに…。」
風来坊太郎、つまり俺は、通行人に一連の事態について聞いてみたところ、
「ああ、全国の市役所、区役所、町役場、村役場は、月夜未高麿総裁の命令で、強制的に取り潰しになったのさ。
したがって、これからは『リベラル主民共栄党』の一党独裁となり、それまでの旧政権与党の無能な構成員たちは追放され、新たに月夜未高麿総裁のもとで、新世界の建設が始まるのさ。」
なんだよそれ、そんなことが勝手に行えるのかよ!
「旅行は中止!もう帰る!」
やけになって帰ろうと思ったが、そこに止めに入ったのは、なんと熱海姫子と、女神こと過疎千恵だった。
女神「待ってください!こうなった以上は、あなたは旅を続けなければならないんです!
あの月夜未高麿こそが、この強制旅行ゲームのラスボスなんです。
現に、彼を護衛しているのは、『都道府県47使徒』の中でも最強の戦士といわれる、東 京也なんです。
今のあなたのレベルでは彼らには勝てません。
レベルを急に上げたりするようなチートスキルもありません。
ですから、全国の旅を続け、それをゲームクリアへの足がかりにしていくしか、方法は無いんです。」
なんでそんなこと、全て知っているんだと思った。
もしかしてみんなこいつらの仲間なのかと疑ったが、実は全くそんなことはないようだ。
女神「私たちは、風来坊太郎さん、あなたの味方です。
むしろ、私たちは月夜未高麿たちから見れば敵なんです。
『敵の敵は味方』ということにもなりますが…。」
熱海姫子「だから言ってるでしょ!風来坊太郎さん!
私たち『擬人化キャラ』は、女神様の忠実なしもべ、心は女神様と同じ、あなたの味方、月夜未たちから見れば敵です。
風来坊さんは、これからも全国の旅を続けるべきなんです!」
そしてなんと、練馬区も、そして風来坊の自宅も、月夜未高麿の手の者たちによって占領されてしまっているようだ。
これでもう、自宅にも戻れない、旅を続けるしかないということになってしまった。
「はあ、なんてことだよ…。」
こうなったらもう、本当にヤケクソだ。とりあえず今日の宿泊先を探すところから始めることにした。
そもそも月夜未高麿【つくよみ・たかまろ】とは何者なのか。こいつが政権をとったら、何か不都合なことでもあるのか、というところから説明する。
月夜未高麿【つくよみ・たかまろ】
『リベラル主民共栄党』の総裁と名乗っていたが、そもそもこの政党自体が、それまで全く活動内容が示されてこなかった。
とにもかくにも、この『月夜未一派』なる者たちが、突然現れ、国会議事堂を占領し、政権を取ったという名目で、たちまち全国を月夜未一派の息のかかった者たちが占領していく。
いったい誰がそんなことを望んだ!?
いったい誰がそんなことを想像した!?
俺らが全くそんなことを望んでもいなかったような方向に、世界が動いていく、残念ながらこの世界では、そういうことがよくあるようだ。




