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令嬢、闘志を燃やす




 私の元に召喚状がまた、届きました。

 今度は私単品宛。しかも署名には第一王子殿下の名前。

 これはもう嫌がらせとしか思えません。いえ、善意と言う名の悪意かもしれません。未必の悪意とは非常に迷惑なことです。


「ファナ。何したの?」

「………何もしてませんわよ」

「本当に?」


 ミシェルの疑いを含んだ目が辛い。


「じゃあ、よほど気に入られたのね」

「全力で辞退したいわ」

「で?行くの?」

「行くしかないでしょう……」


 溜息ばかりが口を吐きます。たった一人、犯罪者を捕まえただけですのよ?しかも此方は被害者。なのに被害者である私が、なぜこんなに悩まされなければならないのかしら?

 下級貴族だからと馬鹿にされている気さえしてきますわ。


「あ、それより例の交換留学の話きいた?」


 ズドンと落ち込んだ私を見兼ね、ミシェルが話題を変えました。が、その話題も私にとっては頭の痛い問題なのですよ……


「条件が破格だよね。留学費用は全部国が負担してくれるうえに、向こうでの単位認定証明さえあれば、こっちで昇格試験も受けられる。合格後も国が後見になってくれるんだもの。これは美味しいわ」

「…………ミシェル。甘過ぎる餌には罠が付き物よ?」

「ファナ。もしかしてなにか聞いた?」


 ひくり、と口もとを引きつらせたミシェルに、私は無言という肯定を返して差し上げました。


「まさか」

「今朝事務局に呼び出されて、私だけは強制参加だと言われましたわ」

「手段選ぶ気ないねー……」


 交換留学に関する概要には『交換留学は希望者の中から選抜試験を行う』と明記されているのに、その選抜試験を強制なんて、考えた方には本気で仕返しをしてやりたい。


「抜け道はあります。むしろこの選抜試験を理由に召喚状を拒否できないかしら?」

「無理なんじゃない?」

「いえ!向こうが権力を振り翳しているんだもの。なら弱者は弱者らしく盲点を突いて逃げて見せましょうっ!」

「張り合うとこソコなのね……」


 がっくりとミシェルが項垂れましたが、むしろソコで張り合わねば私に平穏な未来はありません。負ければ第一王子の陣営に取り込まれ、これでもかとコキ使われるのは目に見えております。

 私が魔術師になりたいのは、故郷のアールディータ男爵領を豊かにするためです。王家のゴタゴタに巻き込まれてる暇などありません。

 とはいえ、選抜試験の勉強が理由では、召喚を蹴る理由としては弱いのも事実。ここは素直に召喚に応じ、直接対決で完封……という辺りが妥当かしら?

 幸いにして、選抜試験については当日辞退や試験放棄などに関しての罰則はありませんし、手抜きをしてはならないともありません。

 私が直接対決であの方々に完封勝利しても、おそらく事務局の方で勝手にエントリーしてる筈ですから、ここは当日辞退か、適当な所で負けてしまえば良いでしょう。


「ファナ。燃える方向間違ってる……」

「いえ。ミシェル。これで良いのですわ。世の中は思い通りにはならないのだと、あの権力ボケした皆様に教えて差し上げますわ」

「あー……ファナがどんどん黒くなってくー……」


 むぅ!ミシェル、失礼です!


今回短めです。

書き進めていたデータをデリートしてしまった……orz

まずいです。

話が明後日の方向に行きそうで怖い。

あばばば((((;゜Д゜)))))))


どうしてもコメディに走りたくなる習性があるようです。


ファナは腹黒いわけではなく、ただ必死に面倒から逃れようとしているだけです。

結果、思考回路が黒く染まっているだけです。


次回、王子様と再戦です。


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