表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

男爵令嬢の実力

 養成学校に来てからひと月が経ち、寮生活にもだいぶ慣れて来ました。

 ああ。そう言えば同室の方ですが。

 優しくて素直な可愛らしい子で、名前をミシェルメイア=カールナントと仰います。実家は王都に本店を構え、国内の主要都市にも分店を構える商家だと伺いました。名ばかり貧乏貴族の我が家よりずっと裕福みたいです。

 だけどミシェルは「お金持ちなのは両親だもの。私はただの平民よ」とあっけらかんと笑うようなあっさりした性格で、初めての共同生活に実はそれなりに不安もあった私としては、ミシェルの人柄に触れて、そんな不安は消し飛んでしまいました。。

 ミシェルとなら、苦手分野を補い合ったり競い合ったりしながら、充実した日常を過ごせそうです。



「次。アールディータ」

「はい」


 養成学校初日は、受講者の技術レベルの確認でした。

 其々一人ずつ教官の前で得意魔法を披露している。私の前の男性は風魔法を得意満面に披露してましたけど、あれって初級問題初級の風魔法にしか見えないのですけど。順番待ちの間に見ていた様子だと、中級程度の魔法を使えることが入学の目安のようですから、きっと初級風魔法の彼は名のある貴族のご令息で、ご両親が無理矢理捻じ込んだのかもしれません。

 そんなのんびりと構えていた私ですが、とうとう順番が回って来ました。担当教官は手にした書類を見ながら確認するように質問してきます。

 これは書類の内容を正確に把握するためらしいです。まぁ確かに得手不得手に関しては自己申告ですからね。本人と教官では見るところも違うのでしょう。


「ファルファーナ=ヴァロア=アールディータですね。得手不得手は特にないと申告を受けていますが、これはどう捉えるべきかしら?」


 魔法士や魔術士、魔導士といった魔力を必要とする職業の場合、大抵が属性というものを持っています。それは使う術の威力や強度に色濃く反映されます。自然界の四大元素と言われる地水火風がそれに当たるわけです。それが得手不得手に直結すると言っても過言ではないでしょう。

 つまり得手不得手がないというのは極端なのです。全属性を持つが故に得意不得意も何もなく、全て平均若しくは平均以下のレベルで使えるということであり、そして全属性が扱えるから特別強力ということはなく、むしろ全属性を持つが故に、通常の魔法士や魔術士より弱いというのが一般的な認識です。

 けど、それは誤り。

 大事なことなのでもう一度。一般的な認識と実際はまったく別。という話です。

 私は教官の疑うような眼差しを正面から見返して差し上げました。だってねぇ?教官ともあろう方が全属性を持つという意味を理解してないなんて思いませんし。


「私、全属性に適性を持っております」


 これで得手不得手無しの意味は通じるはず。…と思ったのに。なんで教官は残念そうな顔をしているのかしら?疑問に思っていると


「全属性ですか……単独魔法が弱いというのは致命的ですね」


 教官の呟きに私は耳を疑いました。全属性持ちの意味を理解していないことが分かる発言です。だからといってそれを一々訂正して差し上げる気もないのですけど。


「まぁ良いでしょう。では試技を始めて下さい」


 全属性持ちの意味を正確に理解していない教官相手に術を打つのはどうなのかしら?少なくとも

 私の魔法の師匠はその意味するところを正確に理解し、その上で私を魔法を教えて下さったので、それはつまり、この教官は私の師匠よりも格下ということになるのでしょうか?尤も、私は魔法を学びに来たわけでなく、単純に魔法士から魔術士への昇格試験を受けるためだけに此処に来たわけですから、はなから教官に知識も技術も求めていません。

 詠唱?そんな面倒なことは必要ありません。

 私が右手を軽く薙ぎ払えば炎を帯びた風が、的になっている木柱に襲い掛かり一瞬にして木炭に成り果てました。

 合成魔法『ブラストウォーム』

 火魔法と風魔法を組み合わせた術ですが、一般的な魔導士の間では威力が無いと言われていて、あまり使われません。

 ですが実際は違います。元から火と風は相性が良いし、炎を風で煽って火力を増幅しているのだから威力が弱いはずかないのです。弱いと言うのならば組み合わせる二種類以上の属性対し、一種類の属性時間持たず、もう一方の属性に対する適性が弱いか、適性自体を持たない為です。

 全属性を持つということは、異なる属性の魔法を組み合わせることで威力を何倍にも出来る。ということなのです。


「……嘘、でしょ」


 一切原型を留ずに消し炭になった木柱を見た教官の、茫然とした呟きが聞こえましたけど私の知ったことではありません。精々ご自身の研鑽に励んでいただきたいものですね。

 技術確認が済んだ翌日には、技術レベルや特性を基準とした幾つかの班分けがされました。午前中はカリキュラムの確認をし、午後からはさっそく本格的な訓練が行われらようになりました。

 私の場合、全属性という特殊な事例ということで、属性よりも技術…というより術の威力で判断されたようです。

 どの班でも構わないと思っていましたが、ミシェルと同班になれたのは僥倖でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ