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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-D 凄い勇者達の日常
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俺は開き直った 『うっ……』

 俺が妹との未来に不安を抱いている間にイリアが来た。

 そして食事を終えた俺達は世界樹へと向かう。

 

「じゃあ、行くぞ」

「はい」

 

 俺たちは家の地下に降りた。

 そこには木箱がいくつも置かれている。

 

 この木箱の隙間からさらに奥へと入った場所に隠し部屋がある。

 そこに転移方陣を隠してある。

 

 転移方陣というのは珍しい。

 だから家の中にあると知られたら誰かに勘繰られて面倒なんだ。

 

 だから隠すようにしている。

 

転移方陣ココを使わなくても行けるんだろ」

 

 ラゼルは、埃っぽい地下を歩くのが不満なのだろう。

 愚痴をこぼした。

 

「手を繋げば多人数で行けるぞ」

「……やっぱりココから行こう」

 

 転移方陣は一定範囲内にいれば物理的に触れていなくても一緒に移動可能だ。

 だが転移方陣から離れた場所からだと手を握るなど体が触れている必要がある。

 

 ラゼルが俺の手を握るのが嫌みたいだから転移方陣で移動している。

 少し傷ついていることに、彼はいつか気付いてくれるだろうか?

 

 勇者の素質を開花させるときには手を握る必要がある。

 だが、彼はすごく嫌な顔をする。

 

 逆にコーネリアとシルヴィアは、なぜか嬉しそうだったが……

 

 何故2人は嬉しそうにするのだろう?

 未だに、その理由は分からない。

 

 それに、ラゼルの手を握っているときに見る2人の笑顔に寒気を感じる時がある。

 未だに、その理由も分からない。

 

 まあ、そんなわけで世界樹に行く時は転移方陣を使っている。

 

 俺達は地下の奥まで行くと小箱をどける。

 小箱は重いがチート持ちの俺や鍛えているラゼルには問題ない重さだ。

 

 小箱を横にズラした。

 すると小箱に隠れていた、さらに地下へと行く階段を隠すフタが現れる。

 

「ふぅ……」

「お疲れですか?」

 

 俺の溜息にイリアが心配してくれた……本当に優しいな。

 妹からの扱いが酷くなってきているためか、イリアの優しさが心に染みる。

 

「うっ……」

 

 俺の横にいたラゼルの顔が引きつった。

 

「なんだ?」

 

 ラゼルが俺を見て顔を引きつらせているのが気になり声をかけてみた。

 

「お前の変な顔を久しぶりに見たと思ってな」

「……そうか」

 

 昔から、幸せに浸るたびに気持ち悪がられてきた。

 まさか優しさに感動している時すら気持ち悪がられるとはな。

 

「ふっ」

「…………」

 

 ラゼルやセレグが怯えたような顔をして一歩後ろに退いた。

 俺が鼻で笑ったことが怖かったのだろうか?

 

 まあいい。今の俺は気分が良い。

 

 これまで幸せな時の顔を否定され続けた。

 そして遂に否定されることを清々しいと感じるまでに開き直れたからだ。

 

 これからは遠慮なく幸せを感じたら顔に表していこうと思う。

 

「変な決意を固めないでね」

「おう」

 

 どうやら妹に心を読まれたようだ。

 そういえば顔に考えていることが出やすいんだったな……俺。

この日のトレーニングは無事に終えた。

だが数日後、俺達は望まぬ出会いを果たすこととなる。

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