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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-D 凄い勇者達の日常
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俺は夕食の危機を守った 『猫か。わかった』

 俺はコーネリアけがさないため、彼女の手を引き凶行の現場から逃げた。

 

 前世で俺は神にすら挑んだ。

 そんな俺に逃避を選択させるとは、ヴァネッサの弟は只者ではない。

 

~逃走後~


 石畳が敷かれた簡素な住宅街で、俺は弟君を称賛していた。

 まあ、現実逃避のためなんだがな。

 

 俺が、どんな現実から逃避しているのか?

 それは、この気まずい空気からだ。

 

「…………」

 

 コーネリアは、何も喋ってくれない。

 まあ、年頃の少女がアノ現場を見たのなら無理もないだろう。

 

「見るな」

「すまん」

 

 俺は、コーネリアの顔を覗きこんでしまい叱られた。

 

 やはり裸同然の男を目の当たりにしたんだ。

 どんな顔をしていいのか戸惑っているのだろう。

 

 俺を叱ったコーネリアは、再び黙ってしまった。

 

(……気まずい)

 

 なんとも気まずい雰囲気だ。

 コーネリアに聞かねばならない事があるのに困った。

 

(ココは、どこだ?)

 

 俺は迷子になったようだ。

 周囲には大きな家が並んでおり金持ち臭がプンプンしている。

 

 一軒一軒の家……いや、屋敷と言った方が良いだろうな。

 貴族街だろうか?

 

 貴族街というのは、貴族や王族が屋敷を構える場所だ。

 もっとも影響力のある商人なんかも屋敷をここに持っている。

 だから貴族街と呼ぶよりも権力者街とでも呼んだ方が良いだろう。

 

 ちなみに平穏を望む俺にとって関わりたくない場所の1つでもある。

 

 (前にもあったよな。王都での迷子……)

 

 前回の迷子は、ラゼルとセレグ、ついでにガリウスと会うキッカケとなった。

 森で迷った時はシルヴィアに軽く調教されたが……あれは忘れよう。

 

 まあ、いざとなれば転移魔法を使えば問題なく帰ることが可能だ。

 このことを考えれば大きな問題はないだろう。

 

「コーネリア」

「な、なに」

 

 コーネリアは少し慌てたように俺を見た。

 彼女は顔が少し赤くなっている。

 

 考えたくはないが、先ほどの光景を思い出していたのかもしれない。

 

 (妹は少しけがれてしまったのかもしれないな)

 

 少し穢れたかもしれないコーネリアを見て、俺は悲しくなった。

 あの純真だった……

 

 純真だったコーネリアを思い出そうとすると1つの光景を俺は思い出した。

 

 世界樹の森でラゼルに眠る勇者の素質を開花させようと彼の手を握った時のことだ。

 コーネリアはシルヴィアの隣で目を輝かせて俺達を見ていた。

 

 なぜ、あの光景を思い出したのかは分からない。

 だが純真なコーネリアは、もういない事だけは理解出来た。

 

「なんで、そんな目で見るのよ」

「いや、なんでもない」

 

 俺が感じた悲しみは、顔に出ていたのだろう。

 コーネリアは俺の顔を見て不愉快そうな顔をしている。

 

「なんでもなくないんだけど!」

「気にしないでくれ」

「…………」

 

 コーネリアは、絶対に怒っている。

 

 ジト目で妹は俺を見たいた。

 そんな妹を見ていたら夕食に危険が迫っていることに気付いた。

 

 (そう言えば、今日はコーネリアが食事当番だったな)

 

 食事は俺とーコーネリア、そして家政婦が作っている。

 新婚旅行三昧の親でも、子どもを完全放置ということはしていない。

 

 ちなみに家政婦は、自分をメイドと称する少し残念な人だ。

 仕事内容なんかが家政婦とメイドは違う……と、前世むかしの友人が言っていた。

 だから、自称メイドさんの彼女への評価は、残念な人で合っているハズだ。

 

 今は家政婦の事は後回しにしないといけない。

 夕食の危機を何とかするのが先決だからな。

 

 俺は夕飯の危機を救うため考えた。

 すると、あることを思いだす。

 

 サプライズ目的だったが、購入して数秒後に自ら暴露した物を。

 

「使い魔は、どんなのが良い?」

「どうしたの? 急に」

「コイツで、使い魔を封じておくコーネリア用の腕輪を作ろうと思ってな」

 

 俺は、アイテムBOXから取り出したミスリルを手に言った。

 わりと重くて落としそうになるがカッコ悪いので頑張っている。

 

「……そうなんだ」

「おう」

 

 はにかんだ笑顔……と、いうべきか。

 自然と零れる笑顔を隠しているかのような表情をした。

 

 始まりの村で見せた表情とはエライ違いだ。

 あの時は、ペンダントを渡そうとしたら微妙な表情をされたっけ。

 

「で、使い魔はどうする?」

「う~ん……可愛い猫がいいかも」

「猫か。わかった」

 

 コーネリアの使い魔は猫に決まった。

 だが『可愛い』の基準が問題だ。

 

 コーネリアは、まだ精霊の力を借りられない。

 だから、おいおい考えることにしようと思う。

 

 可愛いについて、同じ女の子ということでイリアに相談しようとも考えた。

 だが、すぐに俺は思いなおした。

 

 彼女のセンスは個性的過ぎるから……

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