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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-D 凄い勇者達の日常
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俺はミスリルを買った 『どうしたの?』

クレスは転移魔法を使えるので、妹にタクシーとして使われています。

 俺とコーネリアは、中心街で買い物を済ませた。

 アイテムBOXにはコーネリアの買った物が大量に……入ってはいない。

 

 お子様なお年頃のコーネリアには経済力がない。

 だから中心街の雰囲気を楽しんで手頃な値段の服を買うのが関の山だ。

 

 現在は、店に入って服なんかを見るのに付き合わさせられる程度となっている。

 俺が荷物袋と化すのは、彼女が経済力を手にしてからになるハズだ。

 

 それまではタクシーとして頑張ろうと思う。

 

ミスリルそれ、何に使うの?」

「腕輪でも作ろうと思ってな」

「へ~」

 

 コーネリアは、俺が手にしたミスリルを興味深げに見ていた。

 

 俺のではなく、コーネリアのだが黙っておこうと思う。

 いわゆるサプライズというヤツだ。

 

 始まりの村で、ペンダントを渡そうとしたら何故か殴られた。

 そのまま、うやむやとなり彼女には何も渡していない。

 

 使い魔を封じ込められるヤツを探したが見当たらなかった。

 いや、あったのだが……物騒なアイテムばかりだった。

 

 人の血を吸うと、喜んでいるかのように赤く光る宝石。

 邪帝と呼ばれた魔術師が100人の子どもを生贄にして作った指輪。

 ある処刑方法で焼かれ、金色になった人の骨を使ったブレスレット。

 その他もろもろ。

 

(こうやって見ると、勇者コレクションって物騒すぎるよな)

 

 勇者コレクションは、『魔王コレクション』に名を変えても良いレベルだと思う。

 だが、今さら名を変えるのは恥ずかしいので現状維持で行く。

 

「どうしたの?」

「いや、コーネリアは、どんなデザインの腕輪が好きかな~って思ってな」

 

 どうやら、少しのあいだ考え込んでいたようだ。

 

 俺は慌てて誤魔化ごまかした。

 ……って、数秒前までサプライズのつもりでいたのにバラしてしまったぞ。

 

 (これだから俺は馬鹿だって言われるんだな……)

 

 自分の馬鹿をの当たりにして、俺は少し涙ぐんでしまった。

 

「お、お兄ちゃん!」

「なんでもない」

 

 俺は服のすそで涙をぬぐいながら答えた。

 馬鹿だという自覚はあるが、やはり馬鹿を証明する行動を自覚するのは辛い。

 

「ホラ、あっちに人が集まっているわよ」

「……行ってみるか」

「うん」

 

 妹に気を使われてしまったようだ。

 うん? ……コーネリアへのサプライズを結果的にごまかせたんじゃないか?

 

「よし! 行こうか」

「えっ……う、うん(やっぱり単純)」

 

 妹が発した言葉の裏に感じた心の声は気のせいだろう。

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