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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-D 凄い勇者達の日常
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俺は妹の買い物を手伝った 『ガリウスの……だよな』

 俺とは王都へと向かった。

 妹の買い物を手伝う……と、いうかタクシー&荷物運びをするためだ。

 

 で、俺とコーネリアは王都の一角を歩いている。

 ラゼルやセレグと出会った場所だ。

 

 今日は、石畳の上に布などを敷いた露店が多いようだ。

 そんな露店に交じり見覚えのある2人組が見えた。

 

 2人は茶色いローブを着て、フードを深く被っている。

 

「あれって……」

「行ってみるか」

 

 俺とコーネリアは2人組に近づいた。

 露店が並ぶ通りは人がまだ少なく子どもの俺達でも問題なく歩けている。

 

 そして、2人の前に行くと……

 

「よう」

 

 フードを深く被ったラゼルが話しかけてきた。

 

「露店を続けていたのか」

「いや、家を整理していたら、いらない物が出たから久しぶりにな」

 

 どうやら不用品があったので久しぶりに露店を開いたらしい。

 俺が敷かれた布の上に置かれた品を見ると……やはりあった。

 

「……気になるのか?」

「欲しくは無いんだがな」

 

 俺がぶつに目を向けているとラゼルが口を開いた。

 彼の言葉には『やっぱり』というか、そんな感情が混ざっている。

 

「ガリウスの……だよな」

「ああ」

 

 俺たち2人の視線が重なる場所にあったのはボコボコになった鎧。

 もちろんガリウスが行ったトレーニングの賜物の鎧だ。

 

「爺ちゃんが売って小遣いにしろって言うから……」

「運んで来たのか?」

「……うん」

 

 セレグは少し悲しそうだ。

 彼の目には哀愁と疲れが滲み出ている。

 

(子どもの目ではないな)

 

 彼の目を見ると、どのように鎧を持ってきたか想像できた。

 

 2人はアイテムBOXをまだ使えない。

 かといって周囲には荷車も無いようだ。

 

 それに彼の目を見ると、自宅から鎧を背負うなどして持って来たのだろう。

 

 ラゼルとセレグは、鍛えているとはいえ子どもだ。

 兄弟で力を合わせて持って来たのだと思う。

 

 彼らには、ガリウスの申し出を断れない理由でもあったのだろうか?

 

(これ以上の詮索はやめておこう)

 

 俺は2人を思って、この話題を終わりにすることにした。

 彼らの背中から哀愁らしきものが漂っていたからだ。

 

「コイツを売ってもらえるか?」

 

 俺は小粒の青い精霊石を手にした。

 2人にしてやれるのは、このぐらいだ。

 

「毎度」

 

 ラゼルは爽やかな笑顔を見せた。

 近い未来、この笑顔で何人もの女性を堕とすことだろう。

 

「さすが勇者だな」

「は?」

 

 『きょとん』 この表現が今のラゼルにはピッタリだろう。

 言葉の意図が読めずに彼は困惑している。


 『そんな顔をしていたらイケメン勇者が台無しだぞ♪』

 なんて、言ったら怒るだろうか?

 

 少し考えてみたがヤメテおくことにした。

 

 ラゼルの反応がどうとかいう以前に、このセリフを口にしたら悶絶しそうだ。

 

 ………

 ……

 …

 

 俺は精霊石を購入して、中心街の方へと向かった。

 もちろんコーネリアが買い物をする為だ。

 

「後で、寄りたいところがあるんだがいいか?」

「いいけど、どこに行きたいの?」

「ミスリルを買いたいんだ」

 

 魔法銀ミスリル。

 名前のとおり、魔法と相性が良い金属だ。

 

「いいよ」

 

 コーネリアの許可をもらったので、安心して寄り道ができる。


 こうして俺は妹に寄り道の許可をもらった。


 だが、兄としての立場が弱くなっているのでは?

 このような思考が浮かんだところで考えるのをやめた。


 考えても立場弱体化の流れを止めることは出来ないだろうから。

 出来ないことを考えて苦しむよりも、考えず楽でいる方が良いだろう……

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