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漆黒の魔王と神剣 『助かる』

今回もコメディー要素皆無ですm(_ _ )m

 のどかな光景と言うべきだろう。

 その村には雲一つない空の下で遊ぶ子ども達の姿があった。

 

 追いかけっこをして遊ぶ子ども達は笑っている。 


 だが遊ぶ子ども達が見える窓の奥では、重苦しい空気が満ちていた。

 窓の奥に写るのは1人の男性だ。


 彼は椅子に深く腰掛け、背もたれに体を預けている。

 

 黒い髪に黒い瞳をした整った顔立ちの男。

 彼が何者なのか?

 

 その答えは、木製のテーブルに置かれた漆黒の仮面が教えてくれていた。

 

 彼は漆黒の魔王シリウス。

 魔王の晩餐が終わってからの数日間を、彼は旅をしながら過ごした。

 現在、旅の過程で立ち寄ったこの村を気に入ったため家を借りて滞在している。

 

 彼が椅子にもたれている家は通常の民家を借りた物だ。

 よって家の外見も魔王には似つかわしくない平凡な物となっている。

 

 しばらく村に滞在しようと考えていたシリウス。

 だが仕事が出来てしまった。

 

 その仕事というのは、ある人物が2本目の神剣を手にしたことに由来する。

 神剣が手にした人物に与える影響は、シリウスにとって都合の悪い物であろうと想像していた。


 しかし、ある理由から当該の人物を殺めるのは都合が悪い。

 このため、神剣を手にした者に細工を施そうと考えていた。

 

 現在、部屋を訪れた日焼けをした肌の男の報告を受けている最中である。

 その報告とは2本目の神剣を手にした人物に関する物だった。

 

「彼は世界樹の森を拠点にしているようです」

 

 日焼けをした男が言った。

 彼の口調は淡々としているが顔には笑みを浮かべていた。

 その笑みには裏が見えず親しみやすさが感じられる。

 

「そうか」

 

 報告を受けたシリウスは椅子から立ち上がる。った。

 そして数歩だけ前へと進みテーブルに置いた仮面を手にする。

 

 仮面を付けながらシリウスは考える。


 (これほど早く2本目の神剣を手にするとはな……)

 

 仮面から見えるシリウスの瞳には、多少の焦りが浮かんでいた。

 

 

 仮面を着け終わると彼は細長い石を手にする。

 その手に収まる大きさの石は仮面の横に置かれていた記憶石。

 

 記憶石には、様々な情報を記録することが出来る。

 彼が手にした記憶石には、魔王の晩餐で得た情報が記録されていた。

 

 記憶石を手にしたシリウスは、ドアへと歩いて行く。

 そしてドアの近くにいる日焼けをした男に記憶石を手渡した。

 

「遺物の可能性がある。調べてくれ」

「わかりました」

 

 遺物──異世界から流れ着いた物を指す言葉。

 流れ着いた遺物の中には、まれに特別な力を持った物がある。


 記憶石に記録された遺物が特別な力を持つだけの物であれば問題は無い。

 だがシリウスが知っている遺物であれば国が1つ消える可能性があった。

 

 この時点では、彼の予想が正しいかは分からないため情報収集が必要だった。

 目の前の男は商人であり情報収集を任せるには十分な存在と言える。

 

 遺物に多少の懸念けねんがあるとはいえ、今の彼に出来ることは無い。

 このため、シリウスは神剣を手にした人物の件を片づけようとしていた。


「世界樹への移動手段として、飛竜をご用意いたしました」

「助かる」

 

 口数少なめ話した後、シリウスはドアを開ける。

 そしてドアの先にいた少女に声をかけた。


「行くぞ」

「……はい」


 シリウスと声を掛けられた少女は家の外へと出た。

 

 しばらくすると魔物の声が村仲に響く。

 それはシリウスの為に用意された飛竜の声。

 

 青い飛竜は、背に魔王と少女を乗せて世界樹へと向かった。

魔王サイドは、ひとまず終わりです。

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