俺は美幼女勇者の成長を振り返る 『喜びすぎです』
クレスのセクハラから1年経ちました。
※2015/04/09加筆修正しました
イリアには実践訓練を行わせていない。
これには、勇者任命の仕組みが関係しているんだ。
この世界の勇者は、神と呼ばれる存在が任命する。
どんな感じで勇者を任命するのかというと──
ある時期になると勇者の素質が開花した者を、神は啓示という形で示すんだ。
啓示を受けるのは、高位の聖職者や魔法使いに現役の勇者だ。
他にも啓示を受けるヤツは色々といるが、代表的なのはこんな所だろう。
このとき示されたのが10歳未満の場合は、騎士学校で色々と学ぶことになる。
騎士学校では勇者候補者以外も多く在籍しているんだ。
だから、ここで正式に勇者と認められたときの仲間を探す場合も多い。
勇者の素質保有者を保護という目的もある。
これについてはいずれ話そうと思う。
ここで、イリアの育成に話を戻そう。
騎士学校では様々な実技が行われるんだ。
当然、学校では体系的に教えてくれる。
このため、基本からしっかり学ばせるためにも学校で勉強させることにした。
基本がキッチリしていると、成長や応用の面で大きなプラスになる。
それに基本が出来ていると、成長の壁にぶつかりにくくもなるんだ。
派手さは無いが基本は大切ということだ。
よって俺は基本の身を教えて、応用の部分は学校に丸投げだ。
最近は、剣も魔法もイリアは基本を一通り身に付けた。
教えるまで、全く使えなかった魔法も初級クラス扱える。
初めて魔法が使えたときは、大喜びしていたな。
「クレス! ま、魔法です!!」
「おお! やったな!! ついに魔法が使えたぞ!!」
「クレス、喜びすぎです」
「いや、そんなことない。凄いぞイリア!!」
こんな感じで俺は大喜びしているフリをしたんだ。
俺は師として慕われている。
だから弟子の成長や出した成果を過剰なくらいに喜ばねばならない。
大切な人間に喜ばれるのは、大きなヤル気の原動力になるからな。
※その日、クレスは興奮して眠れなかった。
剣も基本の型が身に着いている。
剣を振る時、腕だけでなく全身で振っていおり悪い癖も見当たらない。
剣に関しては筋肉トレーニングは最小限にしている。
筋肉トレーニングを成長期に行うと、成長の妨げになるからだ。
だから技能的な部分を中心として訓練を続けてきた。
俺とイリアが出会って1年が経った。
そろそろ次の段階に進むときかもしれない。
勇者というのはアイドルと一緒で作られるものだ。
勇者の業績で歌を作る詩人。
勇者の功績を伝え寄付金を集める教会。
勇者を使い民衆をまとめるのに使う為政者。
色々な人間の利権が絡むのは、勇者もアイドルも変わらない。
これらに関しては俺は得意ではない。
魔王を殴り飛ばしていたら、勝手に称賛されるようになっていたからな。
勇者は戦っていれば良いというわけではない。
俺は適当に戦っているだけだったが、俺が邪道だと言えるだろう。
実際の勇者は、希望の象徴みたいなものだ。
例えばだな──。
勇者が現れると被害にあっている村人を安心させたる。
勇者が現れると作戦を正しい物だと感じさせる。
勇者が現れると兵士達の士気が上がる。
と、こんな感じでカリスマ性というか影響力があるんだ。
そんな勇者を利用しようとする悪いヤツもいる。
例えば、勇者を権力のために使ってやろう、なんてことを考えたりな。
つまらない計算に巻き込まれないようにする術。
こいつもイリアには教えないとならないだろう。
もっとも、そういった方面は俺の得意分野ではない。
いずれは、そういった方面が得意なヤツを探す必要も出てくるだろう。
だが、今は剣や魔法の実力を向上させることを優先的に考えようと思う。
とりあえず、今後イリアに必要となる物は何かをまとめておく。
1つは先に語ったアイドルのような名声
─名声があると様々な支援などを受けられる
他にも仲間を統率する能力
─人間は組織的な行動をとってこそ力を発揮する
この2つは騎士学校やらで学んでもらうとしよう。
俺が与えられるのは上記以外の部分だ。
物理的な戦いの方法
─剣や槍、格闘術など
魔法を使った戦い方
─文字通り魔法を使って戦う
勇者専用の武器を使用
─???
勇者をサポートする存在を得る
─精霊や召喚獣など
俺がイリアにしてやれるのはこの4つが中心になるだろう。
問題は勇者の武器だ。
俺の勇者コレクションから相応の武器を与えてやってもいいが。
イリアは試練を乗り越えてから勇者の武器を受け取る方が良いだろう。
その方が自信にもつながる。
武器に関しては、普通であれば旅や仕事の中で手に入れる物だ。
だから俺の武器を与えるかは、おいおい考えていこうと思う。
※勇者コレクション
クレスが命名した前世で勇者として集めたアイテム達。
転生後もアイテムBOXに大量に入ったままだった。
と、なると勇者をサポートする存在を得ることが次の課題になるだろうな。
この世界にもある、あの場所が最適かもしれないな。
イリア。俺好みの女にしてやるよ。
→意訳 イリア。俺が最高の勇者にしてやる。