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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-C 凄い勇者は旅行をする
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俺は勇者召喚の儀式を語った 『見学のついでだ』

 ここは異世界より召喚された勇者が降りる村。

 異界の勇者が初めてコノ世界に足を付ける場所の為、始まりの村と呼ばれる。

 

 始まりの村の中央には、勇者召喚の儀式に使われる祭壇がある。

 今日は、この祭壇見学が最初のイベントだ。

 

 

 ~始まりの村 勇者召喚の祭壇前~

 

「ここが異界から勇者を召喚する祭壇だ」

「意外とシンプルね」

「余計な物があっても儀式の邪魔になるだけだしな」

 

 シルヴィアが言うとおり、勇者召喚に使われる場所はシンプルだ。


 奥に6つの柱が円状に設置されている。

 そして柱のある場所の手前に祭壇が置かれているだけだ。


 更に足元の石畳も、柱も、祭壇も白い色だけで統一されている。

 だから神聖さは感じるが、シンプルというか貧弱な印象は免れないだろう。

 

「見た目はアレだが、前世で俺が召喚された時は、魔法やらで派手だったぞ」

「そうなんだ」

 

 コーネリアは祭壇の柱の先を見ながら言った。

 儀式の様子でも想像しているのだろうか。

 

「ここで人類史に残る馬鹿が召喚されたのね」

「遠い目をして俺をいじめるな!」

 

 シルヴィアは、歴史に思いを馳せるような遠い目で、俺をいじめている。

 馬鹿は認めるが、遠い目をして馬鹿だと言うのはやめて欲しい。

 

 俺が指摘すると、シルヴィアは笑った。

 一緒に旅をした時も同じように俺と彼女は馬鹿を言い合っていたな。

 

「人類史に残る馬鹿と、エルフの歴史に残る馬鹿……か」

「「おい!」」

 

 ガリウスの口から、聞き捨てならない言葉が漏れたぞ。

 彼は、『ワシ、変なこと言っちゃった?』というような表情をしている。

 

 人類史に残る馬鹿=俺、エルフの歴史に残る馬鹿=シルヴィア。

 否定できないじゃないか!

 

 これ以上、酷いことを言われる前に、話を先に進めようと思う。

 

「イリア」

「はい」

「勇者召喚について勉強したことはあるか?」

「いえ、学校では習ったことがありません」

 

 勇者召喚を勉強していれば、イリアに説明を丸投げしようとしたんだが……

 

「じゃあ、本で読んだこととかはないか?」

「書かれた本も見たことはありませんね」

「そうか……」

 

 もう1つ、イリアに勇者召喚について知っているか尋ねたのには理由がある。

 それは、この世界で勇者召喚について隠されていないか気になったからだ。

 隠されていることを知れば、色々とマズイこともあるしな。

 

「シルヴィア、勇者召喚の儀式は機密扱いされているなんていうことはないか?」

「それは大丈夫だと思うけど……」

 

 俺の持っている情報って、色々とマズイのもあるしな~……まあ、いまさらか。

 

「シルヴィア、俺が話すことで伝えるとマズイ部分があったら止めてくれ」

「オッケー」

 

 彼女はウインクをしながら承諾してくれた。

 

「そんなヤバい事を言うのか……」

「俺にとっては大したことではないんだがな」

 

 ラゼルは怖がっているというか、俺に呆れているというか……複雑な表情だ。

 

「ヤバければシルヴィアが止めてくれるし問題はない」

「そうか……」

「「「「「…………」」」」」

 

 ラゼルが納得すると、全員が俺をジッと見始めた……あれ?

 

 ここで俺はあることに気づいてしまった。

 勇者召喚について話すのだが、ハードルをムチャクチャ高くしてしまった。

 

 ──どうしよう。

 

 俺が自分の過ちに気付いて考えている間も、彼等は俺に注目し続けている。

 喋らずにいるとハードルは一層高い物となるだろう。

 

「勇者召喚の儀式についてなんだが……」

 

 早めに喋った方が、話をショボイと思われた時のダメージは少ないはずだ。

 俺は早めに喋ってダメージを減らすことを選んだ。

 

「勇者召喚は、召喚を執り行う一族が柱の前に立って行われる」

「…………」

 

 期待が込められた視線が痛い。

 普段は俺を馬鹿だと言うが、能力的な物は認めてくれているんだよな~

 

 その認めてくれている部分が、今は期待として俺に牙を剥いているわけだ。

 

「その一族なんだが勇者の素質を持っていて……」

 

 俺は、このあと勇者召喚の儀式について話を続けた。

 

 話した内容は以下の通りだ……

 

 儀式の様子

 勇者召喚の儀式は、召喚を行える一族が柱の前に立ち行う。

 儀式には取り仕切る者がいて祭壇の前で召喚の魔法を使う。

 

 儀式について

 召喚を行う一族は勇者の素質が、ある程度開花した物が選ばれる。

 勇者の素質を贄にして、魔王不在の世界から勇者を召喚するのが勇者召喚。

 

 儀式終了後

 召喚の終了後、召喚に参加した一族の物は命を落としたり衰弱したりする。

 

 まあ、大体こんな所だ。

 

「これから話すことは、ヤバいことに分類されると思う」

「えっ」

 

 コーネリアは顔を引きつらせている。

 他のメンバーもまた……

 

「それって知らないといけないことか?」

「見学のついでだ」

「『ついで』でヤバいことを言わないでくれ……」

 

 呆れた口調のラゼルにの主張に、他のメンバーも頷いている。

 

 俺は話のハードルを上げすぎた。

 だから驚くような内容を伝えようとしたが失敗だったようだ。

 

「じゃあ、この辺にしておくか」

「そうですね」

 

 イリアが肯定してくれた。

 

「後はザイオンに頼んである壁画見学だな」

 

 こうして勇者召喚の祭壇見学は終わった。

 

 壁画見学の解説を聞くのって退屈なんだよな……

 前世で聞いたからサボろうか?

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