表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-B 凄い勇者は勇者ギルド(仮)の拠点が欲しい
72/207

俺は男のロマンを掴んだ 『当然だ!』

 想像よりも仮面の威力が高く俺は制裁を受けた。

 だが、俺は回復魔法により復活する。


 日本だったら殺人未遂だったハズだ……良かったなシルヴィア!


~~


 魔王城での立方体の調査だが1日がかりで終わった。

 終えた調査は何が原因で作動しないかということだけだが……


「修理に必要な物は分かるかしら?」

「ほとんどの物は、コチラで用意できますが……」


 シルヴィアと研究者のリーダーの男性とが話している。


「手に入りにくい物でもあったの?」

「ええ……」


 研究員が言うには以下の2つの物質が必要だそうだ。

 1.膨大な魔力を受け止めても大丈夫な素材。

 2.装置を動かすのに必要な大きな魔力が含まれた物


 俺は、どちらも心当たりがある。

 だがココで俺が渡すのも変だろうから、渡すのは帰ってからにする。



 と、魔王城の調査はコレで終わりだ。

 今回の調査でココが『ラジ・アーシカ』だと分かった。


 あと、俺に出来ることは必要となる素材を渡することぐらいだろう。

 俺は研究者が立方体の装置を修理するのを待つ以外には何も出来ない。



 調査団は、しばらく調査をしてから拠点に戻る予定らしい。

 装置の事だけでなく城の崩壊具合も調べるそうだ。



 異世界の城のハズなのにコチラの世界に在る『ラジ・アーシカ』

 なぜ、この城がコチラの世界に在るのかは分からない。


 現状では情報不足だ。

 どれ程考えても憶測の域は出ないだろう。


 憶測など夢想と変わらない。

 俺は推測できるだけの情報が集まるまで、この件は忘れることにした。


 一応、自分の頭の悪さを嘆いて思考を放棄したのではないことは強調しておく。



~数日後~


 俺達は魔王城『ラジ・アーシカ』の調査から帰還した。

 

 それから数日後、俺とシルヴィアはケット・シーの大長老宅へと向かう。

 勇者ギルド(仮)の拠点とするかを話すためだ。


 大長老の邸宅があるヴィショットの街。

 ここには魔王城を調査していた研究者達の関連施設がある。

 俺達はココで立方体の装置に必要な素材を研究者に渡した。


 渡したのは……

 1.膨大な魔力を受け止めても大丈夫な素材。

 →邪神を(戦って勝てば)使役できる本で召喚した邪神様のご遺体


 邪神は膨大な魔力を持っているので素材としても問題ないハズだ。


 2.装置を動かすのに必要な大きな魔力が含まれた物

 →かつて世界を半壊させた魔物を封印した水晶


 魔力を抽出して使えば、魔物の力も弱まって一石二鳥のハズ。

 封印も相当な強度で、魔物も弱り切っているようだから問題はないだろう。



 研究者に素材を渡したあと、大長老と面会した。


「あそこは俺の知っている城だったぞ」

「と、なると!」


 大長老は身を乗り出してきた。

 彼の目は少年のように輝いている。


「修理に必要な素材は研究者に渡したし、あとは彼ら次第ということだな」

「おお」


 感嘆な声を上げる大長老。

 空飛ぶ城が完成したら、どんな反応を示すのだろう?

 彼の反応は今から楽しみだ。


──ご高齢だからポックリ逝かないか心配でもあるが。


「まあ、いいか」

「なにか?」

「いや、こっちの話だ」

「そうですか……」


 大長老は怪訝な顔をしながらも納得してくれた。

 空飛ぶ城を見たときに、逝かないと彼の生命力を俺は信じることにする。


「そういえば、お土産がある」

「……本当に渡す気?」


 先程まで空気と化していたシルヴィアが喋った。

 なぜか怪訝な表情をしているのが気になる。


「当然だ!」

「……すみません。この馬鹿に付き合ってあげて下さい」


 シルヴィアは大長老に申し訳なさそうに頭を下げた。

 彼女は俺の選んだお土産を『枯れ木だ!』とか言って侮辱しまくっていた。


 だが、猫である大長老なら、きっと価値を分かってくれるハズだ。

 俺はアイテムBOXから茶色い物体を取り出し大長老に渡した。


「これは……?」

「遠慮なく受け取ってくれ」

「…………」


 大長老も初めてみるらしく何か分からないらしい。

 シルヴィアはというと申し訳なさそうにしている。


「臭いを嗅いでみてくれ」

「ええ……!!」


 その物体の臭いをかいだ途端に大長老の表情は一変した。


「な、なんというかぐわしい香りだ!」

「えっ」


 先程まで申し訳なさそうにしていたシルヴィアは驚きの表情を見せている。

 俺は彼女の表情を見て勝者となったことを実感した。


「そいつは鰹節という物だ」


 そう俺が渡したのは鰹節。

 猫であるのなら無視できない魔性の食材だ。


「鰹節……なんという……」

「そいつは、これを使って薄く削り、炊いた米の上にかけて食うとうまいぞ」


 俺は鰹節を削る道具をアイテムBOXから取り出して差し出した。


「軽く、こいつを掛けると一層うまいぞ」

「これは、醤油ですね」


 この世界には醤油や米が存在する。

 だが一般的には普及しておらず一部の国でのみ消費されているのが現状だ。

 当然、鰹節は一層普及しておらず大長老が知らなくても無理はない。


「……本当に食べ物だったの?」

「日本では一般的な食材だったぞ」


 どうやらシルヴィアは俺が嘘を言っていると思っていたらしい。

 俺の日頃の行いを思えば文句を言えないのが悔しいな。


「後で食べてみてくれ」

「ええ」


………

……


~数ヵ月後~


 しばらく経った頃、再び大長老宅に向かう。

 その時に俺達は『ラジ・アーシカ』の修理が可能だと報告を受けた。

 

『これで男のロマンが実現する!!』


 報告を受けた俺と大長老は、こう言って固い握手を交わす。

 そんな俺達の横でドン引きしていたシルヴィアの事は気付かないことにした。


 固い握手を交わした俺達は、その後でロマンを熱く語り合った。

 そんな中で前回の鰹節の話も出て……


「前回教えて頂いた米の上に鰹節と醤油を掛けた料理に名前はあるのですか?」

「ああ、『猫まんま』という名前だ」

『……猫』


 大長老は微妙な顔をして呟いた。

俺はこうして、『空飛ぶ城』という男のロマンを掴んだ。


※猫は鰹節が好きだ。

だが、沢山食わせると尿結石の原因になるから注意が必要だぞ。

※世界を半壊させた魔物を封印した水晶の魔物は、前世で俺が見つけるまで、封印の外に魔力が漏れ続けたため弱り切っていたんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ