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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-B 凄い勇者は勇者ギルド(仮)の拠点が欲しい
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俺は地下に辿り着いた 『覚悟は出来ている』

俺達は螺旋階段を降りて目当ての場所に辿り着いた。

そこに1歩、足を踏み入れると周囲の壁が発光して、昼間のように明るくなった。


地下には広い空間が広がっており、中央には黒い立方体の物体があるのが分かる。


「……セレグ君、大丈夫?」

「…………」


シルヴィアはセレグを気にかけ声をかけた。

だがセレグからの返事は無い。


セレグは体力を使い果たして倒れている。

山を登った後で、異常に長い階段を降りため力尽きたようだ。


「休ませてやろう」

「……後で謝りなさいよ」

「そうだな」


元はと言えば俺が連れてきたのがいけないんだよな。

後で謝っておこう。


今はセレグにしてやれることはない。

だから中央にある立方体を調べることにする。


「損傷はないみたいだが」

「あなたって馬鹿なのに、そういうのは得意よね」

「褒めるときぐらい、俺をけなすのはやめてくれ……」


魔法や魔法関連の道具を理解できるのはチート能力のおかげだ。


「ダメだ。作動しない」

「そう……」


俺が記憶を頼りに魔力を流し操作しようとしても、立方体は作動しない。

専門家に見てもらうのが良いだろうな。


「ここまでの安全も確認できたし、専門家に調べてもらうとしよう」

「じゃあ、呼ぶわね」

「頼む」


シルヴィアは通話石(見た目がス○ホ)を使い研究員を呼んだ。


………

……


シルヴィアが呼ぶと研究員たちは降りてきた。だが……


「まあ、こうなるよな」

「すっかり彼等の体力のことを忘れていたわ」


研究員たちはセレグと同様、床に倒れている。

すっかり忘れていたが、彼らは室内で過ごすことの多い研究員。

よってセレグ同様に体力が無い。


「俺らも休むか」

「そうしましょう」


俺とシルヴィアは、死屍累々とも評せそうな地下で休むことにした。



~5時間後~


俺はセレグと話している。


「そろそろ夜だな」

「そうですね」


研究員もセレグも2時間ほどで生き返った。

そして研究員たちは立方体を調べている最中だ。


中央にある立方体の物質。

これは、この城の核と呼べるもので、結界を張ったり色々と出来る。


だがコイツの真価は、『城を浮かせる』ことにある。

そう、俺がココを目指したのも『空飛ぶ城』を手に入れるためだ。


昔、この城を奪おうとして攻め込んだことがある。

しかしココの主だった魔王は己の最期を悟ると城を俺ごと墜落させようとした。

その時に螺旋階段を飛び下りたのだが手遅れで墜落した。


しかも墜落した場所が海だったため海水が流入して城から脱出せざるえなかった。


この時は泣く泣く魔王城を諦めた。

しかし転生して手に入れる機会が訪れるとは……


「「!!」」


セレグとシルヴィアが俺を見て驚いたような顔をした。


「どうしたんだ?」

「…………」

「…………」


2人は言いにくそうに顔を見合わせている。

だがセレグが勇気を振り絞るたのだろう、想いを口にした。


「……凄く怖い笑顔でした」

「そうか」


俺は、セレグの純粋な瞳を見ているのが辛くなり目をそらした。

どうやら遂に魔王城を手に入れられるという邪悪な想いが顔に出ていたようだ。


まあ空飛ぶ城を手に入れられるかは調査結果次第だが……


俺は立方体の周りにいる研究者たちをジ~ッと見続けた。

立方体は研究者たちの身長と同じ位の高さだ。


研究者たちは金属の板っぽい物を見たりしながら調べている。

魔力を立方体の物質に流したりするたびに板を見ているのが分かる。

あの板は調べた情報が表示されているのだろう。


研究者たちは、色々な機材を広げて立方体を調べている。

凄くイキイキとした表情だ。


見ているだけで面白い。



~10分後~


──飽きた


10分程度で俺は研究者観察に飽きた。

これは俺の集中力が低いせいではない。子どもだからだ……きっと!


(暇つぶしでもするか)


俺はシルヴィアをからかうために移動した。


「シルヴィアお姉さま。一緒に遊んで下さい」

「!」


俺は精一杯の愛想を振りまきながらシルヴィアに懇願した。


「な、何バカ言っているのよ」

「お姉さま。僕のこと、お嫌いですか?」


目に涙を溜めて懇願してみる。

少し自分が気持ち悪くなってきた。


「うっ……その顔は反則」


シルヴィアは顔を赤くして俺から目を反らした。

敵から目を背けるとは甘いヤツめ。


俺はアイテムBOXから、ある装備品を取り出す。


「お姉さま……」


俺はシルヴィアの手をそっと取って、そっとささやく。

こうして彼女が俺を見るように仕向けた。


そして……


「クレ……! ……キャアーーーッ!!」


彼女は一瞬表情を凍りつかせた後、甲高い悲鳴を部屋全体に響き渡らせた。

この時、後ろに大きく飛び退いたのは、危険回避としては最上級の行動だろう。


彼女は俺がアイテムBOXから取り出した仮面に驚いた。


今の俺はドクロの仮面を装着している。

イリアとの思い出が詰まった大切な仮面だ。


しかし、シルヴィアがココまでの反応をするとはな。


(準備をするか……)


仮面を外し俺は正座をする。


一方でシルヴィアは、ゆっくりと俺の方に歩いてきた。

そして俺の前に立つと悪鬼羅刹の如き表情で見下ろす。


「……クレス。言い遺すことはある?」

「覚悟は出来ている」


この後、シルヴィアから制裁を受けたのは言うまでもないことだろう。

俺が魔法や魔法関連の道具を理解できるのはチート能力のおかげだ。

こいつは理解を促すだけで、情報を集める物ではない。

だから理解するのに必要な情報が揃っていなければ役立たずのチート能力だ。

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