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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-B 凄い勇者は勇者ギルド(仮)の拠点が欲しい
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俺は魔王城に辿り着いた 『まるで幽霊屋敷だな』

俺とシルヴィアはセレグからお叱りを受けた。

久しぶりに泣きたくなったのは気付かれていないハズだ。



~魔王城前~


魔王城に俺達は辿り着いた。


現在、城が半壊しているため、数名が内部に入り安全性をチェックしている。

天井が崩れたりしたら危ないしな。


だから、何もすることのない俺達は魔王城前で休憩中だ。


「なあ、シルヴィア。気になったことがあるんだが」

「なに?」

「怒ったセレグって、バスカークに似ていなかったか?」

「……私も思った」


バスカークというのは、前世で俺が一緒に旅した仲間の一人だ。

俺とシルヴィアが馬鹿をするたびに正座させられ俺達は叱られていた。


「しゃべり方や目付きが似ていたわね」

「やっぱりそう思うか」

「ええ。あと、有無を言わさないような雰囲気とかも……」

「恐ろしい奴だったよな」


俺は、かつての仲間のことを思い出した。

普通なら仲間との良き記憶を思い出すのだろう。

だが、何故か叱られたことしか思い出せない。


「バスカークを親父と呼んでしまったこともあったな」

「あの後、あなたは顔を鷲掴みにされて、お説教をされたわね」

「良い思い出だ」

「あなたが思い出という言葉で済ませたいのなら何も言わないけど……」


バスカークは25歳だったが『親父』と呼びたくなる貫禄があった。

今でも、あいつは俺にとって心の親父だ。


「あいつ、親父と呼んだとき目が笑っていなかったな」

「色々と気にしていたから……」


俺達は女性職員達と話しているセレグに目を向ける。


「見た目は全く違うがな……」

「バスカークは強面こわもてだったわよね」


セレグは男の娘が可能な美少年獣人だ。

だがバスカークは25歳でありながら親父と呼びたくなる貫禄があった。


(血縁者の可能性もあるんだよな)


もしセレグがバスカークの子孫だったとしたら……

俺とシルヴィアは130年の時を経て、かつての仲間の子孫に叱られたことになる。


情けなさすぎないか?



~休憩終了~


調査の結果、魔王城の中は落下物の心配はないと判断された。


「じゃあ行くか」

「確か地下に行くのでしたよね」

「ああ、いったん玉座がある部屋に行って、隠し通路から向かうことになる」


セレグの確認に俺は答えた。

俺達が目指す地下は隠し通路からしか行けない。


隠し通路は城の中に数ヶ所あるハズだ。

だが俺が知っているのは魔王がいた部屋にある隠し通路のみ。

よって魔王のいた部屋を目指すことになる。


こうして俺達は魔王城『ラジ・アーシカ』へと入った。


………

……


魔王城に入ると天井は無く曇った空が見える。

壁も所々壊れており廃墟とまではいかないが酷い状態だ。


「まるで幽霊屋敷だな」

「やめて下さいよ!」


俺の幽霊屋敷発言にセレグが抗議してきた。


「幽霊は苦手か?」

「……はい」

「そうなんだ~」


なぜかシルヴィアは嬉しそうだ。


「セレグ君。こんな話知って……」

「やめてやれ」

「なんでよ」

「何でもだ」


シルヴィアは、変な欲求を満たすためにセレグを怯えさせようとしたのだろう。

目がキラキラしている時はロクなことを考えていないからな……コイツは。


「じゃあ、クレスの苦手な物を教えて」

「なんでそうなる」

「特に理由は無いんだけど」

「じゃあ言わん」

「ケチ」


シルヴィアは、口を尖らせて言った。

なんか、からかいたくなる表情だ。


「仕方ない……1つだけ苦手な物を教えるから、誰にも言うなよ」

「なに?」

「シルヴィアという珍獣だ」

「…………」

いてっ」


シルヴィアは何も言わず俺の頭をはたいた。


「俺の脳細胞が死んだらどうするんだ」

「もう手遅れだから大丈夫よ」

「大丈夫じゃないだろ、それ」


俺達は軽口を叩きながら王座のある部屋を目指している。

この城には、既にモンスターもいないためスムーズに進むことができる。


周囲を見ても、やはり俺が知る魔王城『ラジ・アーシカ』の面影がある。


「だが、なんでココにあるんだろうな」

「……私が分かるわけないでしょ」

「呆れたように返答しないでくれ。軽く傷つく」


魔王城『ラジ・アーシカ』が何故、ココにあるのかは俺にも分からずにいた。

いや、正確に言うのなら何故、この世界にあるのかが分からない。


何故なら、ラジ・アーシカは俺が別の世界で滅ぼした魔王の城だから……

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