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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第2章 凄い勇者は美幼女勇者をプロデュースする
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俺は魔幼女にゴブリンの本を与えた 『プレゼント……』

※2015/04/08加筆修正しました

 イリアは魔法が使えない。

 まあ、学んだことがないから当たり前なんだが。

 

 しかし魔物と戦う場合には魔法は重要だ。

 攻撃だけでなく身を守る盾や鎧代わりに薄い膜を作ったりする。

 よって魔法は身を守るのにも必要となる。

 

 そんな魔法を今日からイリアに教えるのだが──。

 

「イリア」

「ハイ!」

「その格好は?」

「?」

 

 イリアの恰好は、何というか──魔女。

 いや年齢から言えば魔幼女?

 

 決して魔法少女のような可愛らしい物ではない。

 

 冥界の淵を思わせるかのような漆黒の生地。

 表面には、オドロオドロしい紫色の炎をあしらった刺繍ししゅう

 

 俺の目には、全身から妖気を発しているようにすら見える。

 ──気のせいだよな?

 

「昨日、頑張りました」

「がんば……えっ? 自分で作ったのか?」

「ハイ!」

「…………」

 

 イリアにはデザインのセンスが死滅しているのだろうか?

 

 もう少し大人で、その格好をしているとマズイんじゃないか?

 俺なら討伐をする側でなく、される側でも納得できる自信がある。

 

 ま、まあいいだろう。

 気分も大切だ。

 

「では、魔法のトレーニングを始めよう」

「はい!」

 

 こうしてイリアの魔法特訓が始まった。

 

「『魔力を練る』、『術式を魔力に刻む』、『発動させる』。この3つを行うと魔法が発動する」

「はい」

「『魔力を練る』と言うのはトレーニングあるのみ、『術式を魔力に刻む』に関しては術式を知っておく必要がある」

「はい」

「最後の『発動させる』なんだが、『魔力を練る』と『術式を刻む』を行えないとトレーニングの行いようがない」

「はい」

「だから、しばらく『魔力を練る』を中心に行い『術式を刻む』は術式を覚えることに専念する」

「はい」

 

 俺はイリアに魔法の基本と今後の方針を伝えた。

 

「とりあえず、この本を暇を見つけては読むようにしてくれ」

 

 俺はアイテムBOXから茶色い皮表紙の厚い本を取り出す。

 するとイリアは──。

 

「えっ?」

「うん?」

「今、突然、本が出てきたのですが」

「……ああ、これはアイテムBOXという魔法だ」


 アイテムBOXは空間に穴をあけて自分専用のアイテム入れを作る魔法だ。

 結構、高度な魔法だが勇者を目指すのなら身につけておきたい魔法でもある。

 イリアに伝えたのは、こんな内容だ。


「アイテムBOXの習得は後回しだ」

「はい」

「まずは魔法の基本から入るとしよう」

「はい」

「その本は手が空いているときにでも読んでくれ」

「……はい」

 

 イリアは俺の渡した本を見て少し微妙な顔をした。

 

 俺の渡した本は『ゴブリンでも分かる魔法の本』

 タイトルはアレだが分かりやすくて良い本だ。

 

「数日に1ページ程度でも良いから読むようにすれば十分なはずだ」

「は、はい……」

 

 イリアは気合入れてローブを作ってきた。

 それで渡されたのが『ゴブリンでも分かる魔法の本』ではテンションも下がるか。

 

 フォローしておくことにする。

 

「こっちがメインなんだが……」

「?」


 俺はアイテムBOXの中から1つの指輪を取り出した。


 リング部分は銀色で、模様の無いシンプルなデザイン。

 だが、埋め込まれた四角い透明な宝石がアクセントとなっている。

 まさしく匠の技がキラリと光る指輪だ。



「こいつは魔法錬度の指輪だ」

「指輪……ですか?」

「魔力を練る能力を鍛えられる」

「はい」

「コイツをやるから、毎日練習して欲しい」

「頂けるのですか?」

「ああ。トレーニングのためだからな。ホラ、手を出せ」

 

 俺はイリアの人差し指に魔法錬度の指輪をはめた。

 

 指輪のサイズをなぜ知っていたかって?

 ストーカーチックなイリア観察が生きたとだけ言っておく。

 

 もう一度言おう。


 リング部分は銀色で、模様の無いシンプルなデザイン。

 だが、埋め込まれた四角い透明な宝石がアクセントとなっている。

 まさしく匠の技がキラリと光る指輪だ。


 ちなみに作者は俺な。


「プレゼント……」

 

 イリアも女の子だ。

 光り物は好きなんだろう。

 

「そいつは、親や周りの人間に見られないようにしてくれ」

 

 子どもであるイリアが見知らぬ指輪を持っていたら?

 このことを考えると、取り上げられるか余計なことを勘繰られたりするだろう。

 だから誰にも知らせない方が良いハズだ。

 

「2人だけの秘密ですね……」

「まあ、そうなるな」

 

 イリアがいうとおり俺達だけ秘密にしないと色々と面倒だよな。

 

「指輪の石が赤くなるようにイメージしてくれ」

「はい。あっ! 赤くなりました」

 

 イリアが着けた魔法錬度の指輪はトレーニングを効率化する物だ。

 石の色をイメージすることで色に対応した属性の魔力を練っている状態となる。

 だから自分が目的の属性の魔力を練れているかを目で確認できるわけだな。

 

 火属性=赤

 水属性=青

 風属性=緑

 土属性=茶

 光属性=黄

 闇属性=黒

 

 このように対応している。

 

「次に緑色をイメージしてくれ」

「はい。今度は緑になりました」


 魔法連弩の指輪にはめられた宝石は、イリアの指で緑色に輝いている。

 エメラルドのような澄んだ色だ。


「緑は風属性だ」

「風属性」

「今は風属性の魔力を練っている状態ということだ」


 風属性の魔法を覚えると、大概の少年は夢を叶えようとする。

 イリアは女の子だから、その心配がないから安心して教えられるな。


「魔法には属性があり、対応した魔力でないと術式を刻みにくい」

「はい」

「だから魔力を練る能力は魔法の基本ともいえる」

「はい」

「魔法錬度の指輪は魔力を練る感覚を経験するのに便利なんだ」

 

 イリアは指輪をジッと見ている。

 目が凄くキラキラしている。

 

 よほど魔法の訓練ができて嬉しかったんだろう。

 


 *


 

 このあと勇者の素質開花や剣術の訓練を行い1日を終えた。

 

 変態な妄想はしなかったかって?


 ふっ、俺とて普段から変態的妄想しているわけではないのさ。

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