表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章-A 凄い勇者と魔王転生の儀式
54/207

俺は生贄を助けたい 『時間を稼いでくれ』

ガリウスが魔人を生贄から遠ざけている隙に俺も部屋へと入った。

そして部屋を確認すると次元の穴を天井付近で見つける。


(遅かったか)


出来ることなら次元の穴が開く前に魔人を倒したかった。

だが過ぎたことを考えても仕方がない。


今は生贄を助けることを優先する。


俺は魔人の相手をガリウスに任せて部屋の中央に寝かされた女性に近付いた。

どうやら魔法によって眠らされているようだ。


「そいつらに近付くんじゃねー!!」

「お前の相手はワシだ!」


俺に気付いた魔人が叫んだ。

だがガリウスが攻撃を仕掛け魔人の動きを封じてくれている。


俺はガリウスに、いくつか伝えたことがある。

1.生贄の救出まで時間を稼いで欲しい

2.恐らく魔法か薬で動けないから対処するまで時間がかかる

3.追っている魔人は致死ではなく即死でないと倒せないタイプの可能性が高い


3に関してだが、魔人にはいくつかタイプがある。

ガリウスが戦っているタイプは、恐らく生命力が強いタイプだ。

首の肉を喰いちぎられて生きているのを考えれば妥当な考えだろう。


(解除するか)


生贄の方だが、魔法を解除するにも調べないとならないことがある。

それは、どんな魔法で眠らされているのかということだ。


「時間を稼いでくれ!」

「ああ!!」


俺はガリウスに時間を稼ぐ旨を伝えた。


(3~4分程度で十分そうだが)


俺は意識を集中さえてヴァネッサという女性にかけられた魔法を調べ始めた。


壁が壊れる音や怒号などが聞こえる。

だがガリウスは魔人を、しっかり押さえてくれている。


しかしガリウスが戦っている方から色々と壊れる音が聞こえる。


この遺跡はボロボロだったが大丈夫か?

俺は生き埋めの恐れがある遺跡から早く出たくなったため魔法の解析を急いだ。


………

……


──解析完了だ


俺はヴァネッサにかけられた魔法の解析を終了した。

あとは術式を調整した解除の魔法を使うだけだ。


「古き戒め。偽りの言葉。己を縛る束縛に気付く者に気付かざる者。光は平等に降り注ぎ続ける。その光は戒めを解く祝福であり何人たりとも犯すことを許されざる真実の声。神聖なる光よ、この者達7人の戒めを解け」


周囲に、淡い光が満ち溢れてヴァネッサと子どもたちを包み込んだ。

そして光は生贄とされた7人の中に吸い込まれるように消えていく。


(成功したはず……だよな)


俺は久しぶりに使った魔法で少し自信が無い。

ヴァネッサの頬を叩いて目が開か試してみる。


「………(起きるか確認中)」

「……………」


生き埋めは嫌だから早めに逃げたいが目を開けない。

今度は両頬を引っ張ってみる。


「………(起きるか笑いをこらえて確認中)」

「……………」


これもダメだった。

今度は、まぶたを無理矢理開けてみる。


「………(起きるか少し目が怖いと思って確認中)」

「……………」


これもダメだ。

普段なら、ここから更に色々とするのだが今回はマズイだろう。

だから普通に起こすことにする。


俺はヴァネッサの鼻と口を塞いで起こすことにした。


「………(鼻水が付かないように注意して確認中)」

「……………」

「………(少し面白くなってきたけど確認中)」

「……………」

「………(顔色が変わってマズイかな~と思いながら確認中)」

「ン~~」


やっと起きた。


「ハァ ハァ」


ヴァネッサは一生懸命に息を吸っている。

酸素を大量に取り入れて脳の働きも活性化したことだろう。


「目は覚めたか?」

「ココは?」

「とりあえず周りを見ろ」


俺はヴァネッサに周囲を見るように伝えた。


「これは……」

「戦っているのは魔人と獣王だ」

「!!」

「俺は獣王と一緒に、生贄にされたお前らを助けに来た」

「そう……なのか?」

「上を見ろ」


俺はヴァネッサに上を見るように伝えた。

素直にヴァネッサは上を見る。


「!!あれは」

「悪魔が召喚される前兆だ……状況がつかめたら逃げるぞ」

「……………」

「俺はイリアとラゼルの知り合いだ。逃げないと子ども達も危険だ」


俺は石櫃で眠る子どもを指さして、ヴァネッサの視線を子どもに向けさせる。

彼女は驚いた表情をするも、少し沈黙した後で状況を理解してくれた。


「分かった」

「子ども達も連れて逃げるから起こしてくれ。すでに魔法は解除されているハズだ」


俺とヴァネッサは子どもたちを起こし逃げ出す。

そして俺は去り際にガリウスに大声で伝えた。


「こっちは大丈夫だ!全力でやれ!!」


俺の位置からはガリウスの背中しか見えないが、笑みを浮かべたような気がした。

なんというか『やっと殺れるぜ』という邪悪な笑みを……

あの魔人に同情する気はないから忘れることにする。


「こっちだ!」

「あの御仁は大丈夫なのか?」

「獣王の名を甘く見ない方がいい」


そう、ガリウスは獣王。

高い身体能力を持つ獣人族の頂点ともいえる存在だ。

あのリアルチートの怪物に心配は不要だろう。


だが本気を出されたら、遺跡が崩れて俺達が埋もれかねないから勘弁してほしい。

俺はガリウスに危険性を感じ、早めに逃げた方が良いと判断した。


「子ども達を、しっかりと見ていてくれ」

「ああ」


俺とヴァネッサは6人の子どもを誘導しながら遺跡からの脱出を目指した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ