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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第5章 凄い勇者は美幼女勇者(9歳)をプロデュースする
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俺はマナについて教える 『おう、マナだ』

今日はマナという言葉の説明です。

今日は世界樹の森で講義中だ。

俺の前には、木で作ったベンチにイリアとラゼルが座っている。


「今日はマナについて教える」

「マナですか?」

「おう、マナだ」


マナというのは勇者の素質には不可欠な物だ。

だからイリアとラゼルに教える。


魔法でも重要なのだが、今回は勇者の素質関連の話を中心にする。

だから魔法使い方面に育てるコーネリアとセレグは、違う場所でトレーニング中だ。


「マナというのは精霊が発しているエネルギーみたいな物だ」

「エネルギーですか?」

「そうだ」


イリアは首を傾げて質問してきた。


「そのマナを多く取り込むことで勇者の素質を活性化できる」

「それは開花できるということか!!」


質問をしてきたラゼルの瞳の奥には、強い期待の念がこもっていた。


「いや、開花ではなく活性化だ」

「……違うのか?」


ラゼルの瞳から期待の念が消えた。

絶望の底に叩きつけられて僅かな希望にすがる人間の目をしている。


まさか、8歳の少年がこのような目をするとは……


俺と素質開花のトレーニング中に手を握り合うのがよほど嫌だと見える。

ラゼルに嫌われているのだろうか……今度、それとなく確かめようと思う。


「そうだな……」


勇者の素質の開花を数字で表してみよう


開花が10

活性度が10%

すると開花1の素質の力が使える。


開花が10

活性度が100%

すると開花10の素質の力が使える。


この活性度を高めるのがマナを取り込むということだ。


「わからない……」

「俺に説明を求めること自体が間違いだと気付け」

「悪かった」


ラゼルには伝わらなかった。

だが俺に説明を求めることの無謀さは分かってくれた。


「素質開花と活性化は違うということだけ覚えておいてくれ」

「ようするに、素質開花のトレーニングを続けないといけないわけか……」

「そうなる」

「そうか……」


ラゼルの瞳から希望の光が完全に消えた。

俺は、ここまで嫌われているのだろうか?


「イリアはどうだ?」

「何となく分かりました」

「そうか」


イリアは分かってくれた。そのことが凄く嬉しいぞ。

この時、俺の顔は幸せに……


「変な顔をするのはやめろよ」


ラゼルに釘を刺された。


俺の幸せそうな顔は何故か周囲の不興を買う。


幸せに浸っている時に、悲鳴じみた声を出すのは傷つくからやめて貰いたい。

だが余計に傷つくことになりそうだから、気持ちを伝えるのはヤメテおく。


「マナを多く取り込むことで素質の力を引き出せる」

「はい」

「そして一定以上のマナを取り込むと『覚醒』が起こる」

「覚醒ですか?」

「一時的な能力アップだと思ってくれ」

「覚醒には反動はないのか?」


絶望に打ちのめされていたラゼルが復活した。

なにかを捨てて、新たな希望を掴もうとする勇者の目だ。



長くなるので、2人に話した内容をまとめる。

※本文に入っていないのも含めて

※覚えなくても大丈夫です


1.マナは精霊が発するエネルギー

2.マナを多く取り込むと素質が活性化する

3.マナを一定以上取り込むと『覚醒』が起こる

4.覚醒は能力アップだと思えば良いが、特別な攻撃方法などが可能になる

5.覚醒を行うと反動として勇者の素質が少しの間、休眠状態になる

6.マナは10歳を過ぎた頃から取り込めるようになる

7.マナを取り込めるようになると、無意識にマナを取り込むようになる


現在の2人に関係しているのは、こんな感じだ。


「と、なるとマナのトレーニングは10歳以降ですか?」

「いや、今から出来るトレーニングがある。イリアには、それをやってもらう」

「俺は、トレーニング出来ないのか?」


ラゼルは少し不安げだ。


「精霊に力を借りる必要があるからな」

「イリアは精霊の力を借りられるのか?」

「その通りだが、誰にも言うなよ」

「……分かった」


ラゼルは、チラッとイリアを羨ましそうな目で見た。

精霊の力を借りられるのが羨ましいのだろうか?

一応、精霊の力を借りるトレーニングを行うことを伝えておこう。


「もちろん、ラゼルにも精霊の力を借りられるようになってもらうがな」

「ああ」


なぜかラゼルは嬉しそうだ。

精霊の力を借りるトレーニングを行えるのが嬉しいのだろう。

なぜ嬉しいのか気になるが聞くのは別の機会にする。


今はイリアのトレーニングが優先だ。


「ラゼルは修業に戻ってくれ」

「わかった」

「近いうちに精霊関連のトレーニングも加えるからな」

「楽しみにしている」


………

……


「始めるぞ」

「はい」


俺とイリアは2人だけになった。

そう言えば、俺が直接教えるのは久しぶりな気がするな。


「トレーニングは精霊の力を借りられるのなら難しくはない」

「はい」


イリアは嬉しそうだ。

新しいトレーニングを行えるので新鮮な気持ちなのだろう。


「まずは精霊を呼ぶ」

「はい」

「……………」

「……………」

「……………」

「(コクッ)」


イリアは頷いた。

精霊が来たという合図だと思う。


「精霊が来たのなら、触れないように手の平を向ける」

「……………」


イリアは黙って手を前に出して手を広げた。


「次に精霊の周囲に広がっている振動を感じる」

「(コクッ)」


イリアは再び頷いた。

この後は気長にやるしかないから俺は待つだけだ。


「振動を感じられるまで気長にやろう」

「(コクッ)」


イリアは再び頷いた。


………

……


イリアのトレーニングは夕暮れまで続いた。


そんなイリアを俺はトレーニングの終了まで見続けた。

イリアには何度か注意されたが見続けた。

少し成長していた。

ラゼルが精霊の力を借りるトレーニングをするのを喜んだ理由。

獣人族は精霊を神聖な物として捉えている。

このため精霊の力を借りられるのは1つのステータスとなるかららしいぞ。

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