俺はトレーニング内容を伝えた 『お前もか!』
~世界樹のある森~
俺とガリウス、シルヴィアは生徒の前に立っている。
生徒というのはイリア、コーネリア、ラゼル、セレグだ。
弟子と呼ぶか迷う所だが、とりあえずは生徒と呼んでいる。
何故生徒の前に立っているのかというと、シルヴィアが自己紹介しているからだ。
しかし彼女は気付いていないようだが、誰も話を聞いていない。
俺は学級崩壊の兆しを発見した気持ちになった。
~学級崩壊の兆し~
─イリアとコーネリア─
イリアとコーネリはシルヴィアの胸を羨ましそうにジ~っと見ている。
ガン見できるのは同性の特権だな。
2人の胸に関しては将来に期待とだけ言っておこう。
冷たい視線を送られるので口には出せないが。
※ガン見は、じっくり見る、じぃーっと見る、ジロジロ見るという意味らしいぞ。
─ラゼルとセレグ─
ラゼルとセレグは少し頬を赤くしていた。
2人の視線は顔に向けられている。
しかし少し下に視線を移動させている瞬間がある。
彼らとは、これまで以上に仲良く出来そうだ。
─ガリウス─
俺の隣にいるガリウスについては『ガリウス、お前もか!』とだけ言っておく。
と、俺が学級崩壊の兆しを観察していると、挨拶が終わりにさしかかっていた。
「……と、いうわけで魔法を専門に教えさせて貰うわ。よろしくね」
何が『と、いうわけで』かは、話を全く聞いていなかったから分からない。
しかし話が終わったことだけは理解できる。
彼女の話が終わった所でパチパチと拍手を4人の生徒は送っている。
ふむ、俺も彼らに合わせて拍手を送っておこう…話は全く聞いていなかったが。
「じゃあ、次はガリウスだな」
「いまさらだろ」
「気にするな」
「初体面以降の挨拶というのは恥ずかしい物だぞ……」
「そうだな」
「ウム」
俺はガリウスに挨拶をさせていないことを思い出し振ってみた。
だが、案の定というか今更挨拶をするのは恥ずかしいらしい。
なぜガリウスに、これまで挨拶をさせなかったのか?
彼はトレーニングを頼む前、すでに全員と顔を合わせていた。
だから、挨拶したのだと俺が勘違いしていたのが原因だ。
とりあえず全員にトレーニング内容を伝える。
「トレーニングについてだが……」
「「「「………………」」」」
4人の生徒が俺の方を見ている。
なんか恥ずかしい物だな。
「ガリウスが武術担当、シルヴィアは魔法担当、俺は色々だ」
「色々ですか?」
イリアが疑問を口にした。
なんか凄く久しぶりにイリアの声を聞いた気がする。
和むな………この時、俺の顔は幸せに満ち溢れていたと思う。
「「「「「「うわっ」」」」」」
全員が引きつった顔で、悲鳴に近い声を発した。
「お兄ちゃん……」
「うん?」
「その顔は、やめた方が良いよ……」
「整形はちょっとな……」
「整形ってなに?」
「こっちの話だ」
そう言えば、この世界には整形手術なんてなかったな。
魔法で顔をイジったりとか出来るかもしれないが俺は知らん。
「その顔はちょっと……」
「ああ、キツイな」
シルヴィアとガリウスが酷いことを言っている。
俺の顔ってそんなに酷かったのか?
「………(目を瞑っている)」
「………(目を背けている)」
獣人族の兄弟は言葉ではなく行動で示した。
「……そんなに酷いのか?」
「すみません」
イリアに謝られた。
罵られるよりも心が抉られた気がするのだが。
「イリアちゃん。どうせ3歩あるけば忘れるから気にしないでいいわよ」
「俺は鶏か!!」
シルヴィアめ。怒鳴ったせいで何を悲しんでいたのか忘れてしまったぞ。
「トレーニングだが……」
「いいのか!」
「いいとは何がだ?」
「さっきの話だが……」
ガリウスが俺に何か言いたそうだ。
「さっきの話というのはなんだ?」
「お前の……」
ガリウスが話そうとすると彼の肩をシルヴィアが叩いた。
「待ってガリウス」
シルヴィアがガリウスの肩を叩いたあと、耳元で何かを伝えた。
「……すまん。ワシの勘違いだった」
「?そうか」
ガリウスも歳だ、記憶の間違いも多いのだろう。
「お兄ちゃんって本物の……」
「クレス……」
コーネリアが凄く残念そうな声でつぶやいた。
イリアに関しては凄く悲しそうだ。
俺は何かしたのだろうか?
「………(目を瞑っている)」
「………(目を背けている)」
獣人族の兄弟は言葉ではなく行動で示した。
いや、さっきとは違い憐憫の念を強く感じるが……気のせいか?
俺は周囲の反応に疑念を抱きつつも、俺はトレーニング内容を伝えた。
………
……
…
トレーニングについて俺が伝えた後、他のメンバーが集まっていた。
「……あの頭で…考え…」
「うん…問題は……」
「……いや、念のため……」
会話が断片的にだが聞こえた。
トレーニングについて話し合っているようだ。
なぜ俺を除けものにしたのだろう。
少し涙ぐんでしまった。
ここまでの設定をまとめました。
『俺は5章までの設定などをまとめた』




