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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第4章-A 凄い勇者と魔王な妹の関係
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俺は魔王な妹と初兄妹喧嘩をした 『お兄ちゃんだからな』

俺とコーネリアは毎度おなじみの世界樹がある森にいる。

イリアは学校の都合でこれない…俺は寂しくなんてないからな!


「今日は、イリアさんはこないのですか…」

「ああ」

「……………」

「……………」

「…クレス」

「うん?」


コーネリアは俺に真剣な目を向けていた。


「な、なんだ?」


真剣なまなざしに俺は思わずドモってしまう。


「あなたに、いずれ伝えようと思っていたことがあります」

「あ、ああ」


コーネリアが俺の目をジッと見つめている。


「クレス……」

「……………」


俺はコーネリアの真剣な目を見て何も言えなくなっていた。


「私はアナタのことが……」

「……………」

「私はアナタのことが、やっぱり嫌いです!」

「…はぁ?」


俺は間抜けな声を出しコーネリアの言葉を租借した。

今、嫌いっていったよな…しかも真剣な目で…


「どうしてです!」

「えっ?はっ?」

「どうして、アナタにお姉さまの血が流れているのです!!」


お姉さまって、俺達の母さんのことだよな…


「お姉さまのことは、私が誰よりも愛していると言うのに!」


確定した。

コーネリアは母さんを恋愛対象として見ている。


「手合わせをお願いします」

「えっ……」

「あなたの実力が分かれば何かを納得できる気がします」

「…本気なのか?」

「ええ」


一見すると脳筋な考えだが…

コーネリアは俺から距離を置いている。

本気で向きあうという意味で良い機会かもしれない。


「いいだろう」

「お礼は言いませんよ」

「ああ、ただし俺は強い。だから本気で来い」

「望むところです」


こうして俺とコーネリアは初めての兄妹喧嘩きょうだいげんかを行うことになった。


~草原~


俺とコーネリアは転送陣を使い草原へと移動した。

周囲には誰もおらず魔物の気配もない。


ここでなら全力で戦えるはずだ。


「準備はいいな」

「ええ、いつでも」

「受け取れ」


俺は金貨を一枚、コーネリアに投げ渡した。


「これは?」

「そのコインを上に投げ、落ちたら開始だ」

「私に開始の合図をさせるなんて余裕ですね」

「有利になっても損は無いだろ?」

「そうですね…では、余裕を見せたことを後悔させて差し上げます!」


そういうとコーネリアは金貨を上空に高く投げた。

そして俺達は金貨が地面に落ちるのを待ち…


地面にコインが落ちた瞬間に俺達は魔法を放った。


~~


お互いの放った火球が宙でぶつかり合い爆発した。


続いてコーネリアの放った氷の刃を俺は短剣に火魔法をかけて防ぐ。

今度は俺が氷魔法の刃を放つ。


俺の放った氷魔法をコーネリアは新たに作り出した氷の刃をぶつけて防いだ。


(やるな)


コーネリアは俺が思っていた以上に魔法の扱いに長けていた。

動きながらであろうと、不意を狙われようとも確実に反応し魔法を放つ。


これは魔法の基本である…

『魔力を練る、術式を魔力に刻む、発動させる』

この3つを無意識の内に使いこなせるまでトレーニングを積んだことを意味する。

俺の義妹になる前は相当な修練を積んでいたと考えて良いだろう。


「やっぱり、手を抜くのね」

「今はな……」


コーネリアの口調が変わった。

恐らくはコチラが素なのだろう。


「バカにしすぎよ!」


コーネリアは、これまでにない魔力を込め魔法を放った。

青い光が球体となり俺を襲う。


これは自分の魔力をを直接放つ魔法。

コーネリアが持つ魔法の中でも高位の物なのだろう。


だが…俺には届かない。あまりにも力量に差がありすぎるんだ。


(当たってもダメージは無い。わざと受けて俺の強さを誇示するのか?)

(この魔法を避ける。そして手を抜いた魔法で喧嘩を続けるのか?)


……どっちも、本気の奴にやることじゃないだろ!!


(来い!ファーウェル)


俺が心の中で呼びかけると一本の剣が時空を超え現れる。

それは万物を斬り裂き神すら葬り去る最強の剣。

前世で俺が唯一、相棒と呼んだ剣でもある。


ファーウェルを振るい俺はコーネリアの魔法を斬り裂いた。



「その剣は……」

「コイツの名は神剣 ファーウェル。俺の相棒だ」


俺は数十年ぶりに持った相棒に目を向ける。

青い光を放ち続ける刀身は昔と何一つ変わらずに輝いていた。


「コーネリア…全力で来い!俺も全力で行く」

「…はい」


俺はファーウェルを構えコーネリアに全力で来るように伝えた。


俺は剣を構えコーネリアは杖を構えている。


お互いをけん制し合うのでもなく静寂が訪れた。

それは最後の一撃を放つための全てを込めるための静寂。


コーネリアは全ての魔力を開放する。

俺はファーウェルに全ての魔力を集める。


「準備は出来たか?」

「いつでも……」


コーネリアの眼には覚悟の光が宿っていた。

恐らく俺の目にも同じ光が宿っているのだろう…


「……………」


俺とコーネリアは見つめ合ったまま動かない。

呼吸をするためにお互いの体が僅かに動く程度だ。


汗が頬を伝わろうとも拭うことは無い。

お互いに全ての力を放てる最高のタイミングを探している。


ひたすら流れ続ける静寂の刻。


だが、お互いの呼吸が重なったとき均衝は一気に崩れた!


「「天壊てんかい」「ダークマター」」


お互いに放った最強の技と最高の魔法。


青い光と黒い闇がぶつかり合う!

だが一瞬で俺の放った青い光が闇を飲み込み絶望的な猛威をふるった。


………

……


「う、う~ん」

「大丈夫か?」

「ク、クレス… あっ」


俺は、岩の上に座りコーネリアを膝の上に寝かせている。

膝枕が恥ずかしかったのだろうコーネリアは無理矢理起き上がろうとするが…


「うっ」

「まだ、寝ていろ」


コーネリアは苦しそうにし動きを止めた。

そして俺はコーネリアの頭を抑え膝の上に戻す。


「私は…」

「魔法で全ての魔力を使った反動だろうな。あの後、倒れたんだ」

「そうですか…なぜ……」

「うん?」

「なぜ、手加減をしたのですか!」


コーネリアの目には涙が溜まっていた。

悔し涙だろう…だが。


「俺は手加減などしてはいない」

「嘘を言わないでください。あなたは私に攻撃を当てなかった」

「だが、全力は見せたはずだ…それに」

「…それに?」

「お兄ちゃんだからな」

「それで誤魔化すつもりですか?」


納得は出来ないだろうな。

だが妹を殺す気はない。


「納得できないのなら、また相手をするさ」

「ええ」

「ただし兄妹喧嘩きょうだいげんかとしてだ」

「…納得できません」


コーネリアは俺の服を強く掴み顔を横にそむけた。

顔をそむけたのは俺に見られたくないからだろう。


彼女の体は僅かに震えているように感じた。


………

……


俺が膝枕をする形になったコーネリア。

頭を撫でたい衝動が生まれるが俺は頑張ってこらえた。


「何をしているのですか?」


少し怒ったような口調でコーネリアは俺に抗議した。

相変わらず顔はそむけたままだ。


「…イヤ、なんでもない」

「そうですか?」


納得は出来ていなさそうな声でコーネリアは答えた。

再び口調は敬語に戻っている。距離は埋まらなかったか……


「やっぱり何か考えていません?」

「まあ、敬語をやめて素の言葉で話してくれないかな~と……」

「!…気付いていたのですか?」

「お兄ちゃんだからな」

「また『お兄ちゃん』ですか……ですが敬語の件は考えておきます」

「ああ、頼む」



『敬語の件は考えておきます』…少しは距離が縮まったのか?

俺の攻撃で森の一部が吹き飛んだことは気にしないことにする。

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