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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第4章 凄い勇者は美幼女勇者(8歳)のプロデュースを再開した
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俺は美幼女勇者の狼を見た 『本当ですか!』

イリアは成長スピードは早い。

彼女が天才かは分からないが、少なくとも秀才だとは言えるだろう。


彼女の能力で特に注目したいのは基礎的な部分のレベルが高い点だろう。

この基本的な部分が彼女の才能を支えていることを忘れてはいけない。


だからイリアの凄さは、才能によるものだけでなく努力の賜物たまものともいえる。


そんなイリアを育て上げた俺、さすがだ!!



俺達3人は世界樹がある森にいる。

イリアは学校帰りに急いで待ち合わせ場所に来るため最近は制服姿だ。

一方でコーネリアはズボンを履き運動を行いやすい恰好をしている。



本日は、2人とも精霊感知のトレーニングだ。

目を瞑り周囲に魔力を張り巡らせ精霊を感知しようとしているが……


「!」


イリアは精霊感知を行っていたが今までと違う反応を見せた。

彼女は次の段階に踏み込みつつあるようだ。


「クレス……精霊が何というか……」

「精霊に質量を感じるのか?」

「ええ……」


精霊に質量を感じる。

これは精霊に自分の魔力を同調させられた証だ。


「イリア、ゆっくりでいい。入学祝いのペンダントに片手で触れるんだ」

「はい」


イリアは俺が渡した入学祝いのペンダントを胸元がら取り出した。

そして右手をペンダントの上に置く。


「氷の冷たさをイメージしろ」

「はい」


イリアが氷をイメージしているようだ。

俺も精霊感知を開始して彼女の周囲を調べると、お目当ての精霊が多くいた。


「氷の冷たさを感じる精霊を探してくれ」

「はい……いました!」

「それが氷の精霊だ。沢山いるが、大きいヤツに意識を向けてくれ」

「はい」


イリアの返事とともに精霊の一匹の動きが激しくなった。

それは青く大きな精霊……イリアは意識を向けるのに成功したようだ。


「氷の精霊は青い蝶としてイメージしてくれ」

「はい」

「青い蝶がペンダントに飛んでくる様子をイメージするんだ」

「はい」


イリアは緊張しているのが分かる。

緊張は避けたいのだが注意すれば集中力を乱してしまう。

今は、このまま続けさせようと思う。


「!」


目を瞑ったイリアに驚きの表情が出た瞬間、ペンダントが光り出した。

使い魔の召喚に成功した証だ。


ペンダントには俺が作った使い魔が封じ込めてある。

その使い魔に精霊を吹き込むと使い魔を呼び出すことが可能だ。


「あっ」


今、とんでもないことを思い出してしまった。


ペンダントに封じ込めた使い魔の名は『フェンリル』だった。

フェンリルとは地球の神話で主神を喰い殺したという物騒な狼の名前だ。


イリアは神に選ばれて勇者候補になったのに……

神殺しの名前を持つ使い魔を従えることになるとは……すまん!


~~


しばらくして光が収まるとイリアの前には銀色の狼がいた。


イリアが呼びこんだ大き目の精霊とは氷の上位精霊というヤツだ。

通常なら上位精霊の呼び出しは難しい。


だがイリアのペンダントは大精霊に与えられた物で精霊と親和性が高い。

よって上位精霊を呼び出す助けになる。

今回はイリアの積み上げてきた努力とペンダントの助けによる成功と言えるな。


「ク、クレス!」

「やったわね。イリア」

「凄いぞ!イリア」


イリアは喜びよりも驚きの方が大きかったらしく笑みはこぼれていない。

だが狼に慎重に手を伸ばし触れると今度は彼女の顔に笑みが浮かんだ。


「ク、クレス!」


先程と同じように俺の名前を呼んでいるが表情が全く違う。

今回は満面の笑みを浮かべて俺の名前を呼んだ。


コーネリアはイリアの近くに行き狼を見ている。

なんか羨ましそうだ。


今度、コーネリアにも使い魔を上げようと思う。

精霊感知がイリア並みになってからだが。


………

……


「イリア!」

「あっ はい」


使い魔に魔法を使わせて周囲を氷漬けにして遊んでいたイリアを俺は呼んだ。


「なにか?」

「アイツは人前で呼ぶのは控えた方が良い」

「えっ」


イリアはガッカリとした顔を見せる。

使い魔をペット代わりにして遊ぶつもりだったのだろう。


犬と戯れる美幼女という構図は絵になりそうだが。

いやイリアの場合は狼と美幼女か……別の意味で絵になりそうだ。


俺も前世で地球でフェンリルを呼んだ。

そして街中で遊び警察のお世話になった程だから気持ちは分かる。


だがイリアの年齢で上位精霊を使い魔に吹き込み扱えることには問題がある。


「上位精霊を使い使い魔を使役するのは高度な魔法だ」

「はい」

「それに精霊というのは神の使いとされている」

「はい」

「上位精霊を8歳の子どもが使いこなせば、人集めの道具として扱われる」

「えっ」

「昔、道具にされたヤツを見たことがあるが酷い状態だった」

「酷いとは……」

「いつか話すさ。フェンリルとの訓練時間を作るから、それで我慢してくれ」

「本当ですか!」

「だが、あくまでフェンリルは切り札扱いだ。いいな」

「はい」


イリアには使い魔をイザという時以外使わないように伝えた。

俺はフェンリルに抱きつきモフモフしているイリアを見て思った。


(見えているぞ)


見えるのは白いタイツだが、中々いいものだ。

俺の中で何かが目覚めた。

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