俺の親を紹介するが美幼女がいないのは残念だ 『モグモグ』
この章はプロデュースから少し離れます。
まずは改めて自己紹介をさせてもらおうと思う。
俺の名前は『クレスト・ハーヴェス』
『クレス』という愛称で呼ばれている。
黒い髪に黒い瞳の7歳児だ。
俺は前世で『藪雨 昴』という名前だった。
43回、勇者として召喚され世界を救うことになったんだ。
そんな俺の両親は2人とも冒険者だった。
一財産作ってノンビリしていると本人達は言っている。
だが、ノンビリしていると思っているのは本人達のみ。
俺が6歳ぐらいのとき『新婚旅行に行ってくるね♪』
このように言って6歳の俺を置いて数十回目の新婚旅行に行った。
そして1ヶ月ほどして帰ってきたらドラゴンの素材やら大量に持ってきた。
現在も2人が新婚旅行に行くたびに伝説上の魔物の素材が増え続けている。
これが2人にとってのノンビリというレベルだ。
きっと、あの二人はタダの冒険者ではないのだろう。
それに2人は俺に修業を付けたがる。
いや、今考えると修業というレベルではないが。
修業の例を上げると
4歳……石造りのダンジョンにてオリハルコン製のゴーレムと戦わされた。
5歳……神域と呼ばれる山に住む神獣7匹ほどと戦わされた。
6歳……変なドラゴンと戦わされた
~~
なぜ俺が、こんな話をするのかというと修業の真っ最中だからだ。
現状を伝えるには俺の両親について君に教えておく必要があると判断した。
だから俺は両親について教えたんだ。
俺はダンジョンの奥で黒い鎧と戦っている。
いわゆる生きた鎧というヤツだ。
鎧だけで中身のない敵なんだが、コイツは別格の強さを持っている。
剣の腕も高いし防御力も恐ろしく高い。
そんな俺を2人の大人が応援している。
君が予想した通り俺の両親だ。
「『モグモグ』 クレス、頑張れよ!」
「クレス、ちゃんと相手を見て!『モグモグ』」
子どもの運動会を応援するノリで弁当を食べながらの応援だ。
涙が出そうなほど心に響く応援だな。
この黒い鎧の敵はダーク・アーマーと呼ばれるモンスターだ。
1対1で戦おうとするのは馬鹿か自殺志願者のみと呼ばれるレベル。
こういう中途半端に強い相手は加減が難しいんだよな。
俺は後ろで弁当を食べる両親をチラッと見て溜息をつく。
(ハァ~ 俺の実力を隠したまま戦わないとな)
俺が実力を隠していることに両親は気付いているのだろう。
別に2人なら実力を見せても問題は無いと思っている。
だが見せる必要がないのなら隠したいというのが本心だ。
(始めるか)
俺は短剣を右手に逆手の形で持ちダーク・アーマーと対峙している。
ダーク・アーマーは俺に剣先を向けて構えた状態だ。
先に仕掛けたのは俺の方だった。
俺はリーチの不利を補うためスピードを使い撹乱することにする。
ダーク・アーマーの間合いまで入り込んだ俺に鋭い剣激が振り下ろされる。
だが俺は振り下ろされる剣に横から短剣を当て軌道をずらした。
そしてダーク・アーマーの右肩に魔法で作ったアイスピックのような刃を突き刺す。
追撃として、いくつもの同じ魔法の刃を撃ち込んだ。
だが右肩に突き刺さった刃以外はダーク・アーマーの振るった剣により弾かれた。
それでも右肩は深いダメージを負い使い物にならないはずだ。
これが手加減して戦うために作った俺のスタイル。
短剣で攻撃を防ぎ攻撃で高密度の魔法の刃を使う。
高密度な魔法の刃は魔力量よりもセンスで威力が決まる。
だから、このスタイルなら力押しと違い実力がばれることは無いはずだ。
俺はダーク・アーマーと距離をとった。
そして、再びお互いに隙をうかがう。
だが、短剣で防ぎ魔法で攻撃する……この作業を繰り返すだけで戦いは終わった。
………
……
…
「クレス、もう終わりか?『モグモグ』」
「もっと、ゆっくりしてくれてよかったのに『モグモグ』」
両親は弁当を食べながら不満を言っている。
俺は両親の言葉に対し複雑な感情を胸に溜息をついた。




