表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第6章-B 凄い勇者の騎士学校受験
131/207

俺はイノシシ退治をした 『仕上げだ!』

 クレスの戦闘力 ワイルドボアとの戦い 

 チート:少しだけ使用

 勇者の素質:封印中

 ワイルドボアは、巨大なイノシシのような外見をしたモンスターだ。

 四本足で立った体高ですら、立ち上がった成人男性並みにある。


 普段は森の奥に生息しているのだが──時折、人里に下りて悪さをするんだ。

 

 悪さの内容は、畑を荒らすなど害獣のようなことをする等。

 やることがショボイと思うか?


 だがな、体がデカイため食い意地が張っており害獣よりも遥かにたちが悪い。

 このため大概の畑は全滅するからシャレにならない被害が出る。

 

 そんな農家泣かせのモンスター退治が俺らの試験内容というわけだ。

 

 ~森の奥~

 

 俺は少し離れた木の上から、獲物を観察していた。

 視線の先には、巨大なイノシシが悠然ゆうぜんと歩いている。

 

 ヤツに気付いた野ウサギなどが我先にと逃げ出す。

 ワイルドボアの危険性を理解しているからだ。

 

 だが、ワイルドボアの天下は今日で終わりとなる。

 

 彼の背後には深い深緑をたたえる何本もの木。

 風に揺れる緑葉に紛れて金属質な光がきらめいた。

 

 それは木の上で弓を構えたブリットが放った矢。

 

 彼女の矢は、ワイルドボアの尻に命中する。

 矢は僅かに血を滲ませる程度の傷を与えるのみだった。

 

 ──が、目的は十分に達せられた。

 

 背後からの攻撃に驚いたワイルドボアは全力で走りだす。

 ヤツは、イノシシと同様で一度走り出したら真っ直ぐに走り続ける習性がある。

 狩るのならその習性を利用すれば良い。

 

 俺は、自分の役目を果たすために枝から枝へと飛び移る。

 獲物の動きを仲間に伝えるために──。


 走り出したワイルドボアは、森の中を疾走している

 巨躯に合わぬ器用さで木々を避けている点は感心せざる得ない。

 

 しばらく走ったワイルドボアは、危険が遠ざかったと思ったのだろう。

 走るスピードを緩めた──のだが、そこに火球が撃ち込まれる。

 

 ワイルドボアは、不意を突かれた攻撃に驚き再び疾走を開始した。

 

 火球を放ったのは木の上から見下ろしているマルテ。

 やはり目には闇を感じる──学校では近づかないでおこう。

 

 マルテの攻撃に驚いたワイルドボア。

 ヤツは、おおむね俺達の計画通りの場所へと向かっている。

 

 ひたすら疾走するヤツのたどり着く先は──。

 

「仕上げだ!」

 

 俺の声とともにフェルがワイルドボアの背後に飛びだす。

 そして木から飛び降りて俺は彼の立った。

 

「炎よ」

 

 すでに詠唱を終えていたフェルに合わせ、俺は無詠唱で火球を放った。

 2つの火球がワイルドボアの尻を焦がすと同時に、大きな咆吼が周囲に広がる。

 

 咆吼ほうこうを皮きりにワイルドボアは走るスピードを上げる。

 加速を続けるワイルドボアの足は地べたを激しく蹴り一層の砂埃を巻き上げる。


 獣声と地響きは更に大きくなり──そのまま崖へと落ちていった。

 

 巨体な上に恐ろしいスピードで疾走するワイルドボア。

 そんなヤツが、走っている最中に崖に気付いても止まれるはずがない。

 見事な作戦だ。

 

「なに得意げな顔をしているんだよ」

「見事な作戦だろ?」

「考えたのは、お前じゃなくてブリットだからな」

 

 俺もブリッドが矢を射った瞬間から、木の上を飛んで指示を出した。

 忍者のごとく木を跳び移れるヤツなんて滅多にいないハズだ。

 十分に貢献した──と、思う。

 

「あ~ぁもったいない」

 

 しばらくするとブリッドとマルテがやってきた。

 崖の下をブリッドは見下ろしている。

 危ないぞ~と声をかけたいが、慣れている様子なので声をかけられない。

 

「干し肉にすれば小遣いになったのに」

 

 崖はかなり高い。

 ワイルドボアの巨体では落下による衝撃は凄まじい物だったハズだ。

 現に下は岩場で赤く染まっり、中身が色々と飛び散ってもいる。

 

(普通の少女であれば目を覆いたくなる光景のハズだがな)

 

 そう思いながらブリッドを見ていると──。

 

「なに?」

「いや、なんでもない」

 

 ブリッドは親と一緒に狩人をやっていると言っていた。

 彼女の親は、たくましく育て過ぎたことを嘆いていることだろう。

 

 もちろん、そんなことを言えばマルテをけしかけてきそうだから口にできないが。

 

「これで3匹目か」

「はい」

 

 フェルの横でマルテが無感情に頷いている。

 今は俺に視線を向けていないので安心だ。

 できれば、このまま──。

 

「クレスさん。崖の下を確認してもらえますか?」

「断る」

 

 崖の下を覗き込んだ瞬間に魔法を打ち込む気だ、絶対に!

 わずかだが殺気を彼女から感じるからな。

 

 俺に注意が向いていないと思ったらこれだ。

 彼女の前では油断はできそうもない。

 

「気に入っているな」

「…………」

「ごめん」

 

 軽口を叩いたフェルは、マルテの一睨みで黙らされた。


 俺は彼女を、ぼっちだと思っていた。

 だが、パーティの主導権は彼女が握っているのかもしれない。

 

「…………」

 

 また顔に出ていたようだ。

 俺も睨まれてしまい、目を背けることしかできなかった。

今回使った火は、スタッフが責任を持って消化しました。

※スタッフ→パーティメンバー(主にクレス)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ