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凄い勇者だった俺が美少女勇者をプロデュースした件  作者: 穂麦
第3章 凄い勇者は美幼女勇者(7歳)をプロデュースする
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俺は美幼女に勇者装備を与えた 『ほんの少しだけ』

2015年05月01日に修正加筆完了

 虚像の大精霊は、湖に映る世界に住んでいる。

 少々──いや、かなり変わったヤツだがイリアなら大丈夫なはずだ。

 大丈夫過ぎて別の心配はあるが。

 

「 キレイな湖ですね」

「 ああ、聖なる湖と呼ぶ奴がいる程だからな」

「 聖なる湖ですか……」

 

 俺たちの眼前には大きな湖。

 水面には、鏡のように空や雲が映しだされている。

 この湖こそが、虚像の大精霊が住む『聖なる湖』だ。

 

「さてと」


 俺はアイテムBOXから、金色のネックレスを取り出して空に掲げた。


 これは大精霊のネックレス。

 大精霊に俺が来たことを知らせるアイテムだ。


 俺は、掲げた大精霊のネックレスに魔力を込めて念じる。

 

 すると湖に変化が現れた。

 水面に映っていた世界に神殿が現れる。


 その神殿から一人の女性が神殿の外へと出た。

 かと思うとコチラに目を向けた。

 


 次の瞬間、湖から光が立ち昇る。

 目のくらみそうな激しい光ではあったが、不思議と目に痛みはない。

 

 そのまま数秒のあいだ光が放たれ続けるも、ある瞬間にフっと光が止む。


 光が消えたあとの湖は、巨大で白く美しい神殿へと姿を変えていた。

 その神殿の前には一人の女性。


 緑色の髪に白い肌。

 目の色は深い青色。

 

 彼女こそが神殿の主たる虚像の大精霊だ。

 

「 あなたは……そうですか。勇者スバル様ですね」

「 ああ、久しぶりだ」

「 ずいぶん幼い姿になりましたね」

「 ……まあな」


 穏やかな口調で俺へと語りかける大精霊。

 前世なら全く問題はなかった。

 だが、今の俺はコイツに最大限の警戒をしなければならない。

 なぜなら──。


「 す、少しだけ抱いてもよろしいでしょうか」

「 いや、今は無理だな」

 

 子どものような可愛い物が好きなんだ。

 好きといっても、変態的な意味での好きだから困る。


 その証拠に彼女の目が怖い。

 色々と台無しになるほど、目を血走らせているんだ。


「 す、少しだけですから……ほんの少しだけ……ハァハァ」

「 すまないが」

 

 昔、俺と旅した少年がコイツに抱かれて色々と失った。

 そう、コイツのいう抱くは『抱きしめる』ではないんだ。

 地球では犯罪になる類の抱くと言えば伝わるだろうか?

 

「 今日はイリアの武器に加護を与えてもらおうと思ってココに来た」

「 イリア?」

「 えっ!!」

 

 突然話を振られたイリアは、変態を前に怯えている。

 無理はないと思うが……頑張れ。

 

「 こちらも中々。ジュルっ」

「 ひっ……ク、クレス」

 

 涙目になりながら、イリアは俺に助けを求めている。

 だが大精霊の中では、最も安全に勇者の武器を得られるんだ。

 安全の意味は、命の危険はないという意味でしかないのだが……。

 

「 抱きしめるだけだぞ」

「 えーーーーーー!」


 大精霊の試練とは危険な物ばかりだ。

 多くは命を危険にさらすような物ばかりで、今のイリアでは荷が重い。

 別の意味で危険だが、コイツの試練に耐えてもらうしかない。


「 もう一声」

「 武器に加護を与えるだけでいいから、それ以上はダメだ」

「 …………」

「 …………」


 しばらく睨みあうかのように視線を絡ませる。

 俺を見ている大精霊が生唾を飲んだのに気づき、俺は思わず視線を逸らした。


(絶対、俺を狙ってやがる)


 身の危険を感じた。

 俺はまだ清い体でいたいんだ。

 この変態から逃げるかどうか、本気で考えた方が良いかもしれない。

 そのように考え出した所で──。


「 ……しかたありませんね」

「 ク、クレス」

 

 イリアは涙目になりながら俺を見ている。

 なんとも恨みがましい目なのだろう。

 

 俺は彼女にとんでもない試練を与えたのでは?

 このように考えて少し罪悪感が芽生えた。


(だが、命を危険にさらすよりもは……)


 一線を超えないように見守っていてやろう。

 俺に出来るのはその位だ。


「……頑張れ」

「クレ……ス」


 捨てられた仔猫のように悲しげな声を出したイリア。

 だが、俺に出来るのは見守ることだけだ。


(無力な俺ですまん!)


 このあと虚像の大精霊はイリアを抱きしめて堪能する。

 その後、武器に加護を与えてくれた。

 

 しばらくイリアは茫然としていたが……

 

 

 もちろん抱きしめる以上のことをしようとした時には止めた。

 だからイリアの貞操を守ることには成功したはずだ。

 心には多少の傷を負ったかもしれないが──。


 なにはともあれ、加護付きの武器を手に入れることには成功した。


 失った物は予想よりも少なかった。

 よかったなイリア!

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