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50話 観察者の檻
床下で泡立つ薬液。
ガラスパネルの下、異形の影が高速で揺れ、内側から床面を叩く衝撃が連続する。
バンッ……バンッ、バンッ、バンッ!
“それ”が跳ねている。
人型にも四足にも分類できない、形の定まらぬ生体武器が、
拘束を解かれ、ただ“怒り”の方向へ突き進もうとしていた。
マレーンが端末のパネルを確認する。
《対象KRM-003:解放成功》
《KRM-009:抑制不能》《KRM-015:制御応答なし》
《R-Ka1032の生体因子との交差率:49% 上昇中》
「さあレイカ、お前はどちらに進化する……?
“観察に従うか”――“観察を壊すか”だ」
その言葉に、レイカの唇がわずかに動いた。
「進化なんてしてない。
あたしは、“生き延びてる”だけだ……!」
——砕ける。
一基目のガラスが叩き割られた。
粉砕と同時に、液体とともに異形のKRM体が跳躍する。
レイカは刃を引き抜き、逆手に構え直した。
「来い。お前がマレーンの証明なら――
私は、お前を壊すことで、“自分の存在”を証明してやる!」




