第37話 都市E-7区画
都市E-7区画。
遮断ドームの内部、まばらに残されたビル群の谷間。
その中心、封鎖された軍用コンテナが一斉に開放される。
ゴォン……ギィイイイ……!
重金属音とともに、煙と共に現れる黒いシルエット。
人のようで、人ではない。
骨格が逸脱し、筋肉は裂けたまま癒えず、
目だけが真っ赤に染まっている。
「TEST-B03起動。対象:制御外因子・発動済」
獣たちは檻の概念すら知らない。
跳ねるように地面を這い、街路灯を爪で裂く。
“追う”でもなく、“向かう”でもなく、ただ“放たれる”。
その頃、封鎖された区画の端部に設けられた補給ユニットが自動で解放される。
中に並んでいたのは――
火器類、戦術装備、戦闘薬剤、そして“起動アンプル”。
背番号を付けた強化人間部隊が無言で整列し、
各自の端末に記された装備リストに従って武器を手に取っていく。
「KR-XX03、EMP選択。
KR-XX07、剛性強化ブレード選択。
薬剤投与完了。反応安定中」
誰一人、言葉を発さない。
それぞれが、「壊すために最適な手段」を無感情に選んでいる。
彼らもまた、“野に放たれる存在”。
上層観測室にて、老いた男が無線に指を添える。
「双方の放出を確認。環境同期:良好」
「あとは……どちらが“壊れながら長く動けるか”だ」
彼の前のパネルには、獣たちと兵士たちの位置がマッピングされている。
そしてその中央に、赤い点が点滅する。
【R-Ka1032】現在位置:中間交戦区画へ進行中
男が目を細めた。
「面白い地点を選んだな。
じゃあ見せてもらおうか、“獣の中の人間”を」




