23/51
第23話 境界断層(ブレイクライン)
NOVA-L外周。
フェンスの切れ目に差し掛かったところで、レイカはバイクを止めた。
“ファング”のエンジンはすでに沈黙している。
ただ、タイヤの回転だけが、わずかに余韻を残していた。
ゆっくりと、意志の抜け落ちた“何か”が横切る。
人型をしてはいるが、異形だった。
歩き方は壊れた人形のようにぎこちなく、
皮膚はまだらに剥がれ、目は焦点を失っていた。
レイカはヘルメットを脱がないまま、じっと見つめていた。
その視線の奥に、言葉にならない衝撃と、かすかな自己投影が揺れていた。
「……あれも、私だったかも。」
失敗個体は、レイカに気づくこともなく、
ただ壁を引っかき、何かを探すように徘徊していた。
風が吹く。
バイクのミラーに、レイカの目元が映る。
その瞳は、静かに、確実に揺れていた。




