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第22話 逸脱体
部屋は静かだった。
ただ、壁一面に並ぶモニターだけが、異様に多く脈打つように光を放っていた。
中央の画面には、レイカがバイクで都市を駆け抜ける姿。
その周囲には、別の“観察対象”たちの映像が、無音で流れていた。
ある画面では、地下施設で壁を引っかく異形の男。
皮膚は剥がれ、目は焦点を失っている。部屋の中で落ち着くなく動き回ってる。
別の画面では、廃墟で膝を抱えて震える少女。
彼女の背中には、軍の識別コードが焼き付けられていた。
さらに別の画面では、自分の腕を切り落としながら再生を繰り返す兵士。
その顔には、笑顔のような痙攣が浮かんでいた。
「観察対象:R-Ka1032、行動パターンに逸脱あり」
「運動能力 優 思考能力 優 変動率 高」
「他個体との比較データ、継続取得中」
「……やはり、君だけが“異常”だ」
彼の背中は動かない。 薄ら笑いを浮かべ只、見てる。
モニターの中の彼らは、確実に“壊れ始めていた”。




