第20話 6ヶ月の猶予
倉庫の奥に設けられた、金属臭のする簡易検査室。
レイカは上着を脱ぎ、無言で腕を差し出した。
血管に沿ってかすかに浮かび上がる紫のライン――
そこに、武器屋の目が静かに止まる。
「……いつから、こんな色になってた。」
「三日前。最初は痛みじゃなくて、指先の温度だけが消えた。」
武器屋は無骨な装置を引き寄せ、レイカの腕にセンサーをあてる。
ピッ、ピッ、と脈に似た電子音。
読み出された数値を見た彼の表情が、一瞬だけ動いた。
「……ダメだ、混じってる。
これ、純正じゃねぇ。不純物、入ってる。しかも“調合済み”のじゃねぇ。」
レイカは、ほんの僅かに目を伏せた。
「寿命は……どれくらい、削れてる?」
武器屋は答えない。かわりに装置を静かに切った。
「お前の今の細胞再生サイクル、2.8倍速。
このまま使えば、6ヶ月もたねぇ。下手すりゃその前に暴走する。条件次第じゃ、もっと早まるかもしれねぇ。
……念のため言っとくが、暴走したら――」
武器屋は一瞬だけ視線を逸らした。
「……どうなるか、わかってるな。」
沈黙。
空気が軋むように重たくなる。
それでも、レイカは顔を上げた。瞳は愁いでいた。
「なら、急ぐしかない。
心配はいらない。……始末のつけ方くらい、知ってるから。」




