第64話真実 1
「おまえのせいだ」
ブランドンとサディアスとカイルは、離れ離れになって座っている。三人一緒だと、すぐにケンカになってしまう。だから、物理的に離れるようアメリアが命じたのだ。
落ち着きを取り戻すなりそうきめつけたのは、カイルだ。
一瞬、だれに言っているのかわからなかったけれど、彼はわたしを見ている。
「お母様がキングスリー国から去らねばならなかったのは、おまえのせいだ。お母様が王宮の森の中でおまえを拾わなかったら、お母様はキングスリー国にいられたんだ」
めちゃくちゃ衝撃を受けてしまった。
「お母様の言いつけがなかったら、おまえなんか面倒みなかった。とんだお荷物を背負う必要などなかった。しかも、急にいなくなるなどとは、恩知らずもいいところだ。いや。おれのことはこの際どうでもいい。お母様の人生をめちゃくちゃにし、不自由な思いをさせているのは、おまえだ。おまえさえいなければ、お母様はイングスリー国で暮らせたんだ」
カイルは、肩で息をするほどいっきに言い募った。
「聞いているのか?」
その彼の怒鳴り声でハッとわれに返った。
衝撃が強すぎて、話の内容がまったく頭に入ってこなかった。
おそらく、わたし以外の人たちもそうだろう。みんな、口をポカンと開けて彼を見ているから。
「ごめんなさい、カイル。あまりにも衝撃的すぎて内容がまったくわからなかったわ」
正直に言った。
「もう一度言ってやる」
「ごめん、もういい。何度聞いても頭に入ってこないだろうから」
「あいかわらず理解力のないやつだな、おまえは。こんなバカを可愛がるお母様の気が知れないよ」
「だから、それをやめてって言いたいのよ」
「なんだと? なんのことだ? お母様と違って、おまえはやはりわけがわからん奴だ」
「もういやっ!」
「やめなさい、ふたりとも」
アメリアに怒られてしまった。
「カイル。いい歳をしてお母様はないでしょう? あなたは、ほんとうに幼いときのままなのね」
「ですが、お母様」
「もうダメだ」
サディアスが笑いだした。
笑いは伝染する。
みんなが笑いだした。
もちろん、わたしも。リオンとルーは、床を転げまわって笑っている。
「『お母様』ってキャラじゃなさすぎよね。まさかあなたがマザコンだったなんて、思いも知らなかった」
「だまれ、だまれ、リオ」
真っ赤になって怒り狂うカイルが、ちょっとだけ可愛いと思った。
みんなでひとしきり笑った後、アメリアがあらためて話してくれた。




