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第63話ケンカ

「それで、結局のところ黒幕はだれなの? あの連中を呼び寄せたのはだれ? というか、カイルだってそうよね」


 カイルは、包帯だらけで長椅子にエラソーに座っている。


 もうもとご主人様と侍女というふりはやめた。


「あの連中は、おそらくは宰相らであろう。わたしも含めて殺すつもりだったに違いない」


 ホプキンソン大公が言うと、アメリアがついだ。


「ロード帝国の工作員たちについては、おそらくその通りね。カイルについては、わたしよ」

「はい? アメリア様?」


 アメリアの告白を聞き違えたのかと思った。


「彼は、わたしの息子なの。だから、彼をここへ呼び寄せたの」

「はいいいいいいい?」


 全力でアメリアとカイルを見比べてしまった。


「なんだよ、悪いか?」


 カイルと目が合うと、彼はふてくされた。


「あなたが? 人を人と思わず、殺したり傷つけたりすることを平気でやるし、意地悪でケチで傲慢で根性も性格もひん曲がっていて最悪最低でクズでろくでなしのあなたが? アメリア様の息子だっていうの?」


 動揺しすぎていて、カイルについて一部分しか思いつかなかった。


「ひどいやつ」

「姉さんってひどいね」

「姉さんってとんでもないね」


 ダリルとリオンとルーのつぶやきが聞こえたけれど、気にしない気にしない。


「なんだと? おまえだってちんちくりんで気ばかり強くて魅力のひとつもなく、可愛げも上品さの欠片もないとんでもないおばちゃんだろうが」

「なんですってーーーーっ! たしかにレディ力はないのは認めるけど、こんなわたしにしたのはだれよ? あなたでしょ? それにおばちゃんだなんて年齢じゃないわ。だったら、あなたなんてジジイよ」


 満身創痍のカイルの胸ぐらをつかむと、グラグラと揺さぶり死しそうなほど揺すった。


「リオ。彼、ほんとうに死んでしまうよ。まっ、死んでもいいけど」


 ブランドンに肩をつかまれた。


 その瞬間、とんでもないことを思いついた。


「では、このクズのろくでなしとブランドン様は兄弟ってこと?」

「こんな弱虫のヘタレ野郎が弟だって?」

「こんな野蛮で口ほどにもないやつが兄だって?」


 カイルとブランドンが同時に叫んだ。カイルなどはいきなり立ち上がったかと思うと、ブランドンの胸ぐらをつかんだ。同時に、ブランドンもかいるの胸ぐらをつかむ。


「自分の好きな女も守れないような男が? ふんっ、冗談じゃない」

「結局、助けてもらるような口と威勢だけの男が? そんなわけはない」

「なんだと、この野郎っ!」

「いまのきみなら、おれでも勝てるぞ」

「こいつ、なんて卑劣な奴だ」

「卑劣の代名詞みたいなきみにそんなこと言われたくないね」


 なんかまた始まった。


「まぁまぁ、ケガ人はケガ人らしくおとなしくしていろよ」


 サディアスが仲介に入った。


「なんだと、この小悪党がっ!」

「きみは、だまっていてくれ」

「おれに噛みつくなよ」


 が、ふたりはそのサディアスに噛みつくと、サディアスもキレだした。


「もうっ! いいかげんにして」

「いいかげんにしなさい」

「いいかげんにしろーっ!」


 クララとアメリアとわたしの怒りの制止が居間に響き渡った。


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