表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/67

第6話子どもたち

「うん。間違いない」

「うん。間違いないね」


 ふたりは、わたしに近づいて来るとマナー違反レベルに上から下までジロジロと見てきた。


「やっと見つけたよ、姉さん」

「なんですって?」


 年長の子の言葉に、おもわず声が出てしまった。


「ずいぶんと探したんだよ、姉さん」

「ど、どういうこと?」


 年少の子の言葉にも、反応せずにはいられなかった。


 が、ふたりともニコニコ笑うだけだ。


(えっ? えっ? もしかして、腹違いの弟? わたしにそんなのいたわけ?)


 まず、思いついたのがそのことだ。というか、彼らが人間違いや勘違いをしていないかぎり、そうとしか考えようがない。


(いいえ。わたしのような突然変異が、三度も起こるわけはない)


 わたしがいまここにいるのは、黒髪と黒色の瞳のせいである。まぁ、たしかに性格や素行もあるかもしれないが、主な原因はこの見てくれだ。


 黒色は、このモート王国ではまだ寛容だ。しかし、祖国ではそうではなかった。しかも王家の血筋にそういうのが現れたとなると、それこそ神への冒涜的な扱いを受ける。


 実際、散々そういう扱いを受けた。


「邪魔なガキだ。そいつらもやってしまえ」


 いろいろ考えているところに、クズ野郎の怒鳴り声が耳に飛び込んできた。


 それでクズ野郎のことを思い出した。というか、すっかり忘れていた。


「いま、取り込み中なの。ひっこんでてくれる?」


 子どもたちに丁寧にお願いした。


 が、ふたりとも首を傾げるだけで、どこうとしない。


 そういっている間に、傭兵どもが襲ってきた。


「どきなさいってば」

「ねぇ、ぼくがやっていい?」


 わたしの怒鳴り声に年少の子の声がかぶった。


 それこそ、瞬きする間もなかった。


 傭兵どもは、一瞬にして石畳の上に転がったのだ。


「再起不能にしたけど、殺した方がいい?」


 わたしを見上げてニッコリと無邪気な笑顔で尋ねた男の子は、「ズキュン」とくるほど可愛らしかった。


 というか、実際「ズキュン」ときてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ