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第51話やはり、パーティーなんてつまらない

 さすがに王妃や側妃たちは招待されていない。とはいえ、その取り巻きや太鼓持ちの有力者たちはやって来ている。彼らや彼女たちの役割は、ここであったことを逐一報告するとともに、意地悪や誹謗中傷を投げつけることだ。


 その相手は、なにもアメリアとブランドンだけではない。違う派閥や常日頃から敵対している別派閥の人物にたいして行われる。


 それぞれのご主人様がいないだけに、より性質が悪いかもしれない。


 これはもうクララの誕生日を祝うためのパーティーではなく、子どものケンカみたいになっている。


 食べる物を食べ、飲むものを飲み、人間ウオッチングをしてそんな胸糞悪いやり取りを見るのにも飽きてきた。


 いまのところ、なんの動きもない。


 第三勢力、つまりロード帝国の工作員たちが毒の入ったワインをアメリアとブランドンに薦めに来るわけでもない。あるいは、おもいきってナイフを振りかざして襲ってくることもない。


 だが、ぜったいになにかしら仕掛けてくる。


 ダラダラとときをすごしているかのように見せかけ、アメリアとブランドンは視界に入れている。


 カイルとサディアスは、別々の場所でそれぞれ招待客たちと歓談している。


 一応、王子とマフィアのボス。しかも、カッコいい。政治的にも経済的にも安定している。そうなれば、レディだけでなく紳士たちにも人気があるのは当然のこと。


 そして、護衛対象者であるアメリアとブランドンもまた、カイルとサディアスとは反対の意味で男女を問わず人気がある。というか、「的」だろうか。


(よくもまぁ耐えられるものよね)


 王宮でのパーティーでも感心したが、ここでも心底感心した。


 わたしだったら、理不尽な誹謗中傷を叩きつける連中のほっぺたを、ニッコリ笑って引っ叩いてやるのに。


 男女を問わず、だ。


 それを華麗にさばくふたりは、おとなすぎる。


 慣れている以前に、そもそもそんなことを言われたりされたりすることじたいがおかしいのではないのか? どうしてそんなことになったのか?


(ダメダメ。わたしは、ふたりを守るためにここにいるのであって、それ以外は関与しちゃダメなの)


 興味本位や自己満足でほじくり返せば、かえってアメリアとブランドンを傷つけてしまう。


 わたしだってほじくり返されたくない過去ばかり。彼女たちだってそうなのだ。


 わずかに首を振り、いらぬお節介を頭から追い払った。


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