表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/67

第42話いまのところ無事だけど……

 いまのところ、無事にすごせている。


 暗殺者たち、つまりカイルたちにとくに動きはなく、カイルたち以外にいたとしても、カイルたちが緩衝材になって近づけないだろう。


 カイルは、他者の介入を極端に嫌がる。他国のそういう機関との連携や共闘はもとより、フリーの暗殺者や元工作員や傭兵などとはぜったいに組みたがらない。


 以前、キングスリー国である軍事大国の王族全員を血祭りにあげよ、という指令を受けた。信じられないかもしれないが、ほんとうにその内容の命令だった。そのとき、一国相手、しかも軍事大国への潜入だったため、命じた者たちはわたしたちだけでは心もとないと判断したらしい。軍の工作員に加え、フリーの暗殺者や傭兵たちを別ルートでその軍事大国に送り込んだのだ。


 そのとき、カイルは怒り狂った。


 そして、躊躇することなく別ルートの連中をすべて抹殺したのだ。


 同国の工作員たちでさえ、惨殺した。


 彼は、それほどまでに他者の介入を嫌う。


 というか、つねに自分が一番だと信じているので、他者が介入してくるとプライドを傷つけられたと思うのかもしれない。


 あんな狂人の気持ちなど、知りたくもないけれど。


 とにかく、もしも他にもアメリアとブランドンの命を狙う連中がいたとしても、カイルが許しはしないだろう。


 カイルは、はっきりいって獣だ。縄張りを侵す者はけっして容赦はしない。


 というわけで、アメリアとブランドンの身は無事なものの、わたし自身は守るべきブランドンやカイルにからまれたりいじられたりしている。


 朝一番の挨拶から始まり、夜は夜で部屋におしかけてきて、というように。


 いいかげんうんざりし始めている。


 睡眠不足も重なり、イライラしどうしだ。


 というわけで、なにをやっても失敗ばかり。


 洗濯物を干せばなぜか落ちて泥だらけにしてしまうし、床を掃けばなぜか花瓶が割れてそこらじゅう水浸しにしてしまう。窓を拭けばガラスになぜかひびが入るし、アイロンをかければなぜか生地を焦がしてしまう。


 しまいには、アメリアに呆れ返られてしまった。それでも、めげずにあれこれやるところが、わたしのいいところだろう。そのように自画自賛しておく。もっとも、リオン曰く「姉さんは、諦めが悪いんだよね」らしいけど。


 とにかく、その日の朝は、みんなのシーツを集め、洗って干そうとした。


 木はいっぱいある。枝から枝へロープを渡せば、かなりの枚数を干すことができる。


 というわけで、木によじ登ってはロープを渡す作業を行った。


 現役時代、だれよりも身軽だった。木によじ登ったり枝から枝へと飛び移ったりというのは得意だった。任務中、そういう場面に遭遇することもすくなくなかったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ