熱さと痛さ
「では、ケンタさん、心の準備はよろしいですか?」
「はい!どんとこいです!」
エリシアさんのテンションが上がったので、つられてテンションが上がる。
めちゃくちゃ痛いらしいが、夢だし大丈夫だろう。
「では、始めます。」
エリシアさんは立ち上がると、ゆっくり近づいてきた。
「安全のためにこれをつけますね。」
俺の口に猿轡を噛ませた。
そして椅子に座っている俺の後ろに回り込み、肩に手を置いた。
「深呼吸してリラックスしてください。」
大きく息を吸って吐く。それを五回ほど繰り返した頃、エリシアさんがすっと俺の頭を抱きしめた。
思わずギュッと身体に力が入る。
「あっ、ダメですよー。身体の力を抜いてくださいね〜。」
まるで赤ん坊をあやす様にエリシアさんは俺の頭を撫でながら言った。
そう言われましても…おっぱいが当たっていまして…。
服の上からも分かるほどの豊満なおっぱい様が私めの後頭部を包み込んでおります。
すごくリアルな感触。夢の中でこれが味わえるとは!なんかよく分からないが、記憶の統合とやらを快諾して良かったぜ。
「はい、力を抜いてくださいね〜」
そうだ、力を抜かねば。
いや、でもこれ、力を入れたままなら、ずっとこの感触を堪能できるのでは?
いやいや、いかんいかん。そんな邪な考えはエリシアさんに失礼だ。
徐々に身体の力を抜いてエリシアさんに身体を委ねる。
「はい、良い子ですねー。そうです。私に身体を預けてー。」
まるで赤ん坊扱い。
エリシアさんの母性に導かれ、俺は瞳を閉じて完全にリラックス状態。
しかし、すごい状況だ。猿轡を付けながらお姉様に甘えてる。
俺の頭を優しく撫でていた手がぴたりと止まる。そして手のひらで額を包み込む。
その瞬間、閉じた目の中が明るく発光した。同時に額から脳幹がまるで沸騰したかのように高温になる感覚。
熱っ!!
思わず叫んでしまった。しかし、猿轡が邪魔をして何とも言えない呻き声となって口から出る。
ジッとして居られず、全身の筋肉を使って立ちあがろうとするが、エリシアさんがぎゅっと押さえつけてびくともしない。
「んぐっ!んーっ!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
エリシアさんが涙ながらに謝罪しながら、俺を押さえつける。
少し遅れて猛烈な痛さが襲ってきた。
「んぐぁああっ!」
痛さが頭の中を掻き乱す。
そして、すっと痛みが治った。まるで霧が晴れたかのように。
「ケンタさん…。」
エリシアさんは椅子にもたれかかった俺を抱きしめながら猿轡を外す。
「はぁっ…ぐっ…はぁ…。エ、エリシア様…。」
エリシア様は優しく俺の頭を撫でながら抱きしめてくれた。